映画やドラマなど動画コンテンツを、視聴速度を速めて見る「倍速視聴」する人が増えている。植野緒深さん(神奈川・平塚江南高校3年)は、倍速視聴をすると「内容に対する理解度は下がるか」について研究を進め、「令和6年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会」で発表した。(写真・野村麻里子)
倍速視聴「1.75倍まで」は理解度変わらず
―研究テーマについて教えてください。
2年生の夏ごろから「倍速視聴における理解度への影響とその効率的な利用方法について」というテーマで、動画の倍速再生がどのように理解度に影響するかを研究しました。きっかけは映画や映像教材などを倍速で視聴する生徒が増えていると感じたこと。この研究をすることで、ビデオ教材などを使用する生徒にとってより効率的な勉強方法を確立できると考えています。
―研究の内容を教えてください。
実験では被験者に倍速ごとに同じ動画を見てもらい、視聴後に動画に関する簡単な4択テストを行うことで理解度を測りました。
私の仮説は「速度を上げるほど理解度は落ちていく」というものでしたが、結果はそれに反して「1.75倍までは理解度は変わらない」というものでした。追加実験として字幕の有無が理解度に影響するかどうかも確かめたところ、字幕有のグループは軒並みテスト結果における高得点をマークして
「最も効率のよい勉強法」探りたい
―研究を進める上で大変だったことは何ですか?
たくさんの量の実験結果を、難しい統計を用いて分析しなければならなかったことです。それでも、統計をただ使うだけではなく理解から始めようと積極的に学んだことで、結果的に研究を効率よく進められたと思っています。
―研究を通してどんな力が身に付きましたか?
物事を、統計をつかって客観的に見る視点が身に付いたように思えます。また、身近な問題を自ら探して扱ったことで、課題発見の力が向上したように感じました。
―今後の展望を教えてください。
今後は教科による差異や、視聴の繰り返しによる理解度の変化を確かめたいと思っています。「最も効率のよい勉強方法は何か」ということに焦点を当てて、もっと掘り下げた研究というのも行ってみたいです。