新課程に対応した2025年度入試では、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の内容・形式にも変更が生じる。河合塾教育研究開発本部の近藤治さんのアドバイスを交えながら、国語の内容・形式の変化や学習対策についてまとめた。(安永美穂)

大問が一つ、時間が10分増える

国語は、「近代以降の文章」に大問が1問追加され、近代以降の文章3問(110点)、古文1問(45点)、漢文1問(45点)の構成に。多様な文章を提示することに伴い、試験時間は10分延びて90分になる。

国語の問題構成(河合塾提供)

「2022年11月に公表された試作問題においては、近代以降の文章に追加される第3問の例が示されました。気候変動が健康に与える影響についてレポートを作成する場面などを想定して、複数の文章を読み取り、それらを図やグラフなどと関連づけて解釈する力を問う内容となっていました」(近藤さん)

「実用文」出題の可能性も

新課程で必修となった『現代の国語』では、実用文も扱われる。「共通テスト導入前に実施された試行調査(プレテスト)では、駐車場の契約書や高校の部活動規約を題材とした出題もあり、第3問ではそのような傾向の出題がなされる可能性もあります」

しかし、試作問題はあくまでも試作に過ぎず、それと同じ形式の問題が本番で出題されるとは限らない。「『現代の国語』で学習する、資料の読み取りやそれに基づく言語活動に慣れておくとともに、共通テスト導入前の試行調査(プレテスト)にも目を通し、試作問題とは異なる傾向の出題がなされても慌てずにすむようにしておきましょう」

【国語の学習対策】図・グラフ読み解く力を育てて

河合塾が公表した「<新課程>共通テスト 試作問題分析」にて示した、2025年の共通テストに向けての学習対策をまとめた。

共通テストやセンター試験の過去問演習は有効。新しく追加される第3問に関しては、「現代の国語」の内容をもとに、文章の読解だけでなく、図やグラフを正確に読み取る力やそれらを関連づけて解釈する力を身につけておきたい。現代社会の問題についてレポートを書くなどの言語活動に触れておくことも必要。

 
近藤治さん 
学校法人河合塾 教育研究開発本部主席研究員。河合塾入塾後、教育情報分析部門で大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。情報発信や講演も多数実施。