データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「政治・経済」の問題分析は次の通り。
― 多様な資料を正確に読解し、判断する力が求められた。難易は昨年並 ―
「倫理、政治・経済」との共通の設問が4大問中3大問で出題された。ほとんどの設問に統計や模式図などの資料が用いられており、基本知識を土台とした考察力、読解力などの総合的な学力が求められた。難易は昨年並。
大問数・解答数
大問数4、解答数30個で昨年から変更なし。第2問・第3問・第4問の一部は「倫理、政治・経済」との共通問題。
出題形式
昨年と比べて、文章選択問題が8問から10問に増加し、そのうち選択肢が3行以上の文章選択問題が3問出題された。組合せ問題が18問から16問に減少した。3大問が、オープンキャンパスの模擬授業や探究など、生徒の学習活動の場面設定であった。また、模式図を選択する問題や並べ替えの問題が出題された。
出題分野
昨年と比べて経済分野からの出題が減少し、国際政治分野・国際経済分野からの出題が増加した。大問のテーマや設問で各分野を融合した出題がみられた。
問題量
昨年並。
難易
昨年並。
大問別分析
第1問「現代の日本と世界の諸問題」 (26点・標準)
政治分野・経済分野・国際経済分野からの出題。統計資料、法律の条文、会話文など、多様な形式の資料が出題された。問4では「カーボンニュートラル」の定義が問われた。問6では正確な国際収支の定義の理解と、それにもとづく計算が求められた。
第2問「日本の地域社会と経済のしくみ」 (25点・やや難)
政治分野・経済分野・国際経済分野からの出題。グラフや図表について、与えられた条件や基本的な知識をもとに解く問題が目立った。問5は為替介入の結果を適切に判断する力が問われた。問6は、各地域でリサイクルに成功していても国全体でみると失敗していることに着目させる問題であった。
第3問「戦争と平和、日本の議会制民主主義」 (25点・標準)
政治分野・国際政治分野からの出題。模擬授業のテーマについて正確な知識が問われた。問5は委任と責任の連鎖の図を用いて責任の連鎖の図を具体例で考察することが求められた。問7は二つの最高裁判例の読解力が問われた。
第4問「SDGsの意義と課題」 (24点・やや難)
国際政治分野・国際経済分野からの出題。SDGsをテーマに、地球環境問題および国際経済について問われた。問1では、環境問題の会議3つにミレニアム開発目標を加えて、年の古いものから並べることが問われた。問5はメモで示された内容を読み解き、語句の説明にもとづいて表についての記述の正誤を判断する問題。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2022年度 56.77点
- 2021年度 57.03点
- 2020年度 53.75点
- 2019年度 56.24点
- 2018年度 56.39点