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データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「地理A」の問題分析は次の通り。

― 環境問題の解決に向けた探究授業に沿った大問が出題された。難易は昨年より易化 ―

地図や図表・写真などの資料を注意深く読み取り、多様な課題と基本的な知識を結びつける力が問われた。第4問は大問全体で探究の授業を想起させる出題で、環境問題の解決をテーマに、問題提起、諸課題の検討、まとめと、授業を進める形で展開された。出題内容は標準的で、昨年より易化。

大問数・解答数

 大問数5は昨年同様。解答数は30個から31個に増加。第5問は地理Bとの共通問題であった。

出題形式

 昨年同様に、地図・図表・写真などの多様な資料を用いた問題が中心である。参照する資料の数は、地図、写真、文章・表がそれぞれ増加し、統計表やグラフは減少した。出題形式は昨年に引き続き、組合せの形式が多くはあるが、文章選択や図表中から選択する形式も増加した。

出題分野

 大問構成は昨年から変更なし。

問題量

 昨年並。

難易

 昨年より易化。

大問別分析

第1問「地理的技能とその活用、および日本の自然環境や自然災害」 (20点・標準)

 地図と地理情報の活用について、防災を意識した、GISに関する活用力が問われた。問2は写真の撮影地点と地形図から読み取った地形を組み合わせる問題。地形図を丁寧に判断することで解答可能である。問5は洪水発生時の避難経路についてGISを利用した具体的な地図から検討する問題。文章が理解しやすいので、図と照らし合わせると判断できる。

第2問「世界の生活・文化」 (20点・やや難) 

 世界各地の生活・文化について、産業や流通・交通などと関連させて、グラフ・写真、模式図など様々な資料を用いて出題された。問3は世界の特徴的な交通手段が建設された背景について、両方に当てはまるものと一つだけに当てはまるものとを選ぶ問題。それぞれの交通手段の利用場面を想起しながら判断すると解答可能であるが、やや詳細な知識を要するため、戸惑った受験生もいるかもしれない。問4は空港での多言語表示と東京との週当たり往復旅客便数とを組み合わせる問題。言語について判断できた受験生も、往復旅客便数との組合せに迷ったか。

第3問「北アメリカの地誌」 (20点・やや易)

 多文化社会である北アメリカの特徴や変化について、様々な方面から出題された。問4では都市景観の写真から、その地域の住民を類推し、その文化を説明した文章を選ぶ問題。民族・宗教についての基本的な知識を、実際の景観の特徴と結びつけることが求められた。問5ではアメリカの職業別就業者割合について出題された。情報処理・通信技術者と、生産工程従事者に着目すると、標準的な知識をもとに判断可能である。

第4問「環境問題の解決についての探究」 (20点・標準)

 大問を通して、様々な環境問題について、探究的な授業の場面設定で、多様な資料が扱われた。問2は、プラスチックごみの輸出について、資料中の指標を組み合わせる問題。ごみの国際的な取引についてなじみがない受験生もいたかもしれないが、ごみの取引量が減少していることを想起し、資料を丁寧に読み取ると判断可能である。問6では、大問のまとめとして各設問で扱われた環境問題に対する取り組みの例について出題された。それぞれの課題と照らして資料を丁寧に読むことで解答可能である。

第5問「利根川下流域の地域調査」 (20点・標準)

 利根川下流域について多彩な資料が扱われ、資料を読み取る地理的技能や見方・考え方が問われた。複数の資料を用いて判断する設問が多く出題されたが、資料を丁寧に読み取れば、正答の根拠をみつけることができ、受験生にとって取り組みやすい内容であった。問6は探究課題について適当な調査方法を判断する問題。仮説と調査方法の関係を論理的に考える必要があった。地理Aの学習内容でも対応可能であった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2022年度 51.62点
  • 2021年度 59.98点
  • 2020年度 54.51点
  • 2019年度 57.11点
  • 2018年度 50.03点

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