【第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析】
データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「数学Ⅰ・数学A」の問題分析は次の通り。
― 第2問で現実事象の問題、第3問で場合の数のみの出題。昨年より易化 ―
第2問〔2〕では、バスケットボールの2つの軌道を比較する「2次関数」の問題が出題された。第3問では、大学入学共通テストで初となる「場合の数」のみからの出題であった。第3問、第5問では、【構想】をもとにして解く問題が出題された。昨年と比較して、各問題の導入部分で取り組みやすいものが多く、昨年より易化。
大問数・解答数
昨年と同様、大問数は5、第1問・第2問は必答、第3問~第5問の中から2大問選択する形式。第1問・第2問は、2中問構成であった。
出題形式
昨年と同様、数字を答える形式が中心。選択肢から選ぶ問題の解答数は、14~19問であった。第2問〔2〕は現実事象の問題で、対話文形式を含み出題された。第4問でも一部が対話文形式で出題された。
出題分野
昨年と同様、特定の分野に偏ることなく幅広く出題された。「集合と命題」からは出題がなかった。
問題量
ページ数は22~23ページ(下書き用紙を除く)で、昨年より2~3ページ増加した。
難易
昨年より易化。
大問別分析
第1問「数と式」、「図形と計量」 (30点・標準) 〔1〕は数学Iと共通、〔2〕は数学Iと一部共通 必答
〔1〕は、前半は、絶対値を含む不等式の問題。1ー√3が負であることに注意して、(aーb)(cーd)のとり得る値の範囲を考察することが求められた。後半は、(aーd)(cーb)の値を求める問題。誘導通りに計算することが求められた。〔2〕(1)は、半径5の円周上に頂点をもつ△ABCについて、AB=6であるとき、面積の最大値を求める問題。(2)は、半径5の球面上に頂点をもつ三角錐TPQRについて、△PQRの形が定まっているとき、体積の最大値を求める問題。(1)と同様に考察するが、PH、QH、RHの長さの大小関係を考える設問では、空間図形を正確に把握する力が求められた。また、最後の三角錐TPQRの体積を求める問題では、解答の方針を自分で組み立てる必要がある。求める値も複雑なため、時間を多く要したであろう。
第2問「データの分析」、「2次関数」 (30点・やや難) 〔1〕は数学Iと一部共通、〔2〕は数学Iと共通 必答
〔1〕は、52市におけるかば焼き、および、19市におけるかば焼きとやきとりの支出金額のデータをもとに、データの散らばりや相関を考える問題。四分位数や分散、相関係数などの用語の意味を正しく理解できているかどうかが問われた。また、データ数が異なる箱ひげ図からの読み取りは目新しい問題であった。〔2〕は、対話文形式でバスケットボールのシュートを題材にした問題。与えられた【仮定】に注意しつつ、プロ選手がシュートを打った場合と花子さんが打った場合のボールの軌道を2次関数の式で表し、ボールが最も高くなる場合について考察する。(2)は、題材の理解に加えて、√3の近似値も利用した計算が入り、解きにくい問題であった。
第3問「場合の数と確率」 (20点・標準) 選択
何本かのひもでつながれた複数の球を【条件】を満たすように5色以内で塗り分けることを考える「場合の数」の問題。(1)~(4)は、積の法則などを用いて計算すればよいが、(5)は、似ている図の違いを比較する【構想】に従って球の塗り方を考える必要がある。(6)は、(5)の【構想】を活用して考えられるかどうかがポイントであった。全体を通して、「確率」は扱われなかった。
第4問「整数の性質」 (20点・やや難) 選択
長方形を向きを変えずにすき間なく並べて、正方形や長方形を作ることを題材とした問題。(1)の前半は、素因数分解や最小公倍数を考えれば求められる。後半は、2つの自然数で表すことができる整数について問われており、文字をおいて不定方程式を立式する必要がある。(2)の前半は、(1)の前半と同じ考え方のため解きやすいが、最後は整数解が0になるものを除く必要があり、戸惑った受験生も多かったであろう。
第5問「図形の性質」 (20点・やや難) 選択
与えられた【手順】に従って作図を行い、得られた直線が円の接線であることを説明する問題。(1)は、【構想】に従って、4点が同一円周上にある条件と、円に内接する四角形の性質、円周角の定理を用いることで解答できる。(2)は、接線と弦のつくる角の性質など、幅広い内容の理解が問われた。特に、(2)では、参考図が与えられていないため、【手順2】に従って、自分で図をかく必要がある。OTを直径とする円が点Rを通ることに着目できるかどうかがポイントであった。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2022年度 37.96点
- 2021年度 57.68点
- 2020年度 51.88点
- 2019年度 59.68点
- 2018年度 61.91点