世界各国の高校生が国連加盟国の大使役になって国際問題の解決策を探る「高校模擬国連国際大会」が米国ニューヨークで5月12・13日(現地時間)に開催された。私は日本代表団として2日間の会議に参加し、優秀賞を受賞した。(高校生記者・渋谷教育学園幕張高校3年・髙橋千佳)

日本代表団として派遣された6チームは、カボベルデ大使としてそれぞれの議場に分かれ、現在国連で取り上げられている事柄を中心とするさまざまな国際問題について話し合った。私がペアの同級生・小寺圭吾君(3年)とともに参加したIMO(国際海事機関)は、海洋汚染問題を議題とし、カボベルデや同盟国の海を守るべく熱い議論を交わした。

大会に臨む渋谷教育学園幕張高校の2人(グローバル・クラスルーム日本委員会提供)

 

 

 

 

 

 

 

準備期間として与えられた6カ月間は想像以上に長く、ハードだった。「カボベルデってどこにあるの?そもそも国連加盟国なの?」と、担当国の基本的な知識がない状態から準備した。私たち高3のペアにとって、この大会は高校模擬国連の集大成となる会議。できることは最大限やろうと決めていた。役割を分担しつつ、睡眠時間や勉強時間を削りながら山積みの課題を消化していった。

そして迎えた会議初日、「カボベルデのような小さな国の提案は受け入れてもらえるのだろうか」という不安はあったが、笑顔で堂々と振る舞うように心がけた。初日はグループのリーダーを担い、ワーキングペーパー(決議案のもととなる文書)を提出できた。

2日目は慌ただしく、予想外の展開に戸惑うこともあったが、全日本大会の反省を生かしてできるだけ多くの大使の質問に応じ、仲間を増やそうと試みた。最終的に大きなグループのリーダーにはなれなかったものの、私たちが中心となって書き上げた決議案は無事に採択され、会議は有意義なものとなった。

大会を終えた今、私は「やりきった」という達成感と「終わってしまった」という喪失感を同時に味わっている。このような気持ちになれるのは多くの方々の支えがあってこそ。苦楽を共にしてきたペアはもちろん、学校の先生方や友達・家族には言葉で言い尽くせないほど感謝している。

ペアの小寺君(左)とともに頑張ったという髙橋さん(高橋さん提供)

【高校模擬国連国際大会】世界各国から約1600人が参加。参加者は割り当てられた国の大使として、国連機関を模した会議に参加し、国際問題について討議し、交渉を重ね、決議案をまとめた。日本からは、昨年11月の国内大会で上位入賞した灘高校(兵庫)、渋谷教育学園幕張高校(千葉)、渋谷教育学園渋谷高校(東京)、桐蔭学園中等教育学校(神奈川)、開成高校(東京)、浅野高校(神奈川)の6校11人が代表として派遣された。表彰は議場ごとに果たした役割などを評価されて選ばれる。日本の3校が受賞した優秀賞は最優秀賞に次ぐ賞で、各議場4、5チームが選ばれた。