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データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「生物」の問題分析は次の通り。

― 昨年以上に処理する情報が増え、統合して判断する必要があり、昨年より難化 ―

全大問必答で、複数の大問で分野融合問題が出された点は昨年と同様であったが、大問間での配点のばらつきは昨年ほど大きくはなかった。知識を活用して正解に至る必要のある設問が多く、図や問題文で与えられた複数の情報を解釈する必要のある問題も多いため、難易は昨年より難化した。

大問数・解答数  

大問数6は、昨年から変更なし。昨年27個であった解答数は28個に増加した。

出題形式

文章選択問題を中心に出題された。

出題分野

昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

昨年並。

難易

昨年より難化。

大問別分析

第1問「生物の進化と系統」 (12点・標準) 

「生物の進化と系統」の分野から、ヒトの進化に関する知識を問う問題と分子時計の観点から考察する問題が出題された。問1・2は基本的な内容で答えやすかったと思われる。問3は、理論的な予想からのズレについて解釈する点で新しい傾向の出題であり、戸惑った受験生もいただろう。

第2問「生命現象と物質、生態と環境」 (22点・やや難) 

Aでは、「生態と環境」の分野から、植物の競争に病原菌が与える影響についての実験に対する考察問題が出題された。問1は、図1に与えられた乾燥重量と個体数の関係および設問で与えられた種子産生総計の関係を合わせて考察する必要があり、解答に悩んだ受験生もいたと考えられる。Bでは、「生命現象と物質」の分野から、遺伝子組み換え技術に関連して、知識を活用して考察する問題が出題された。問5では遺伝子発現のしくみに関する問題、問6では遺伝に関する計算問題が出題された。

第3問「生殖と発生」 (19点・標準) 

ニワトリ胚の肢芽から翼または脚が形成されるしくみについて実験結果から考察する、会話文形式の問題であった。問2は、外胚葉と中胚葉の相互作用について、会話文と実験結果から導かれる考察を選択する問題であった。 問4は、肢芽形成で分裂した細胞の場所を調べるために、細胞に蓄積させる目印をつけるべき分子を問う問題であった。問5は、予定体節細胞が肢芽形成を抑制することと矛盾する実験結果を選択する問題であった。

第4問「生物の環境応答」 (12点・やや難) 

「生物の環境応答」の分野から、フェロモンに関する知識と実験考察を問う問題であった。問1は、実験の内容と結果を示す表について正確に理解する必要があり、思考力が求められた。問2は、二つの実験の結果を解釈することが求められ、空欄エでは知識を活用する必要があり、やや難しかったかもしれない。問3は、フェロモンの定義をきちんと知っていれば選べる問題で、知識を活用する問題といえるだろう。

第5問「生命現象と物質」 (16点・標準) 

被子植物と昆虫を題材に、多様な生命現象について出題された。問1は、被子植物が他の植物と共通してもつ特徴について問う知識問題であった。問2は、被子植物の有性生殖が多様な遺伝子型をつくるしくみについて問う問題であった。問3は、ショウジョウバエの個眼のはたらきを担う遺伝子Xと遺伝子Yのはたらきについて、示された考察を導くための実験を問う問題であった。問4は、問3をふまえ、実験結果から導かれる光走性と光受容細胞に関する考察問題であった。

第6問「生殖と発生、生物の環境応答」 (19点・標準) 

被子植物の種子形成・発芽に関する知識問題、イネとシロイヌナズナの低温による影響に関する問題であった。種子形成の低下の原因を調べる実験考察問題、イネの低温に対する適応とジベレリンとの関わりに関する考察問題、シロイヌナズナの凍結防止のしくみを調べる実験方法を検証する問題が出題された。実験結果を考察する問題が中心であったが、問5では実験方法を検証する問題が出題された。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2021年度 72.64点
  • 2020年度 57.56点
  • 2019年度 62.89点
  • 2018年度 61.36点
  • 2017年度 68.97点

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