【第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析】
データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「化学」の問題分析は次の通り。
― オゾン分解を題材にした問題が目新しい。思考力や計算力を要し、難易は昨年並 ―
昨年同様5大問構成で、実験を題材にした問題が多く、特にアルケンのオゾン分解を題材にした問題が目新しい。グラフの読み解きや、問題文の読解、複数のステップで考えるなど、思考力や計算力を要する問題が多数出題された。数値そのものをマークする形式の問題が2問出題された。難易は昨年並。
大問数・解答数
大問数5は、昨年から変更なし。昨年28個であった解答数は29個に増加した。
出題形式
数値選択問題を中心に出題された。
出題分野
昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。
問題量
昨年並。
難易
昨年並。(昨年は得点調整が行われたため、問題自体の難易を比較)
大問別分析
第1問「物質の状態と平衡、物質の変化と平衡」(20点)
原子の電子配置、分子中の元素の含有率、非晶質のほか、混合気体の密度や気体の溶解度に関する問題が出題された。問3の、2種類の貴ガス(希ガス)の混合気体における密度と分圧の関係を表すグラフを考えさせる問題は目新しい。問4は、非晶質に関する誤文選択問題で、正確な知識が必要であった。問5は、混合気体の圧力変化に伴う溶解度の計算問題で、題意の理解と思考力を要した。
第2問「物質の変化と平衡」(20点)
化学変化と熱、電離平衡、反応速度と平衡、リン酸型燃料電池について出題された。問1は、種々の反応熱の定義に関して、発熱反応と吸熱反応の正確な理解が問われた。問3は、平衡状態における物質の量的関係を考察する問題であり、与えられた速度定数から平衡定数を求める必要があった。問4aは、水素吸蔵合金の質量から、貯蔵できる水素の物質量を計算する問題、問4cは、リン酸型燃料電池に関する電気量の計算問題であった。
第3問「無機物質」(20点)
溶液中のイオンの反応、金属の酸化、アンモニアソーダ法について出題された。問1は、2種類の塩の水溶液を区別する問題で、沈殿生成や加水分解、電気分解など、幅広い知識が求められた。問2は、金属の酸化についての実験で、グラフが表す反応量の関係を読み取り、組成式を決定する必要があった。問3は、アンモニアソーダ法を題材とした問題で、問3aでは物質の水溶液の性質が、問3bでは反応についての理解が、問3cでは量的関係が問われた。
第4問「有機化合物、高分子化合物」(20点)
炭化水素の反応、芳香族化合物の反応、身近な高分子化合物に関する特徴や性質、カルボン酸の反応、異性体などが出題された。問4は、ジカルボン酸の還元に関する問題で、問4aは、化合物をグラフから特定する点が目新しい。問4bは、生成する化合物の構造式を元素分析の結果を含めて決定する問題、問4cは、生成する化合物の構造式を決定したうえで、不斉炭素原子をもつ異性体の数を求める問題で、構造式の対称性を考える点で思考力を要した。
第5問「物質の変化と平衡、有機化合物」(20点)
アルケンのオゾンによる酸化分解、ヘスの法則を用いた反応熱の計算、平均の反応速度を求める計算、反応速度定数を求める計算問題が出題された。問2は、アルケンの酸化反応を題材とした点は目新しく、数値そのものをマークする形式の問題が2問出題された。問2bは、見慣れない化合物を用いた反応熱を求める問題で思考力を要した。問2dは、速度式を決定したうえでさらに計算が必要であり、時間がかかった受験生も多いと思われる。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2021年度 57.59点
- 2020年度 54.79点
- 2019年度 54.67点
- 2018年度 60.57点
- 2017年度 51.94点