第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「物理」の問題分析は次の通り。

― 仮説検証の実験の条件や、仮説の誤りの根拠を問う問題は目新しい。難易は昨年並 ―

物体の運動に関する仮説を検証するために、記録タイマーを用いた力学台車の運動の実験を行う問題が出題された。必要な実験の条件や、実験で得られたグラフをもとに仮説の誤りの根拠を問う点が目新しい。力学、電磁気、原子の分野が中心の出題で、熱力学と波動の分野は小問集合でのみ出題された。難易は昨年並。

大問数・解答数  

大問数4、解答数24個は昨年から変更なし。

出題形式

語句・文章選択問題を中心に出題された。

出題分野

昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

昨年並。

難易

昨年並。(昨年は得点調整が行われたため、問題自体の難易を比較)

大問別分析

第1問「小問集合」 (25点・やや易) 

原子を除く、物理の各分野から出題され、基本的な事項についての理解が問われた。問1は、水面波の干渉の問題で、波源が逆位相で振動することに注意して強めあう条件を選ぶ必要があった。問3は、一様な円板に糸で物体を取り付けてつるしたときの重心の位置を問う基本的な問題であった。問4は、1サイクルで状態変化をする理想気体について、内部エネルギーの大小を問う定性的な問題で、総合的な理解を要した。

第2問「力学」 (30点・標準) 

記録タイマーを用いた運動の仮説の検証に関する目新しい問題であった。問1は誤った仮説を表すグラフを選ばせる問題、問2は仮説を検証するための実験の必要な条件についての問題、問3は実験結果をふまえ、仮説の誤りの根拠を問う問題であった。問4は異なる質量の台車を同じ大きさの一定の力で引く条件から、同じ傾きのグラフを選べばよい。問5、問6は、水平面上を動く台車と小球またはおもりの運動量の水平成分の和が保存することに注目させる問題であった。

第3問「電磁気」 (25点・標準) 

離れた位置に固定した複数のコイルに発生する誘導起電力をオシロスコープで測定して、磁石を固定した台車の速さを調べる問題であった。問2は、誘導電流が流れるコイルから、動く磁石が受ける力の向きを知っていると解きやすい問題であった。問3から問5では、測定された電圧の時間変化の特徴をきちんと読み取り、コイルを貫く磁束密度やコイルの巻き方、台車の速さがどのように変わったのかを考察できたかがポイントであった。

第4問「原子」 (20点・標準) 

ボーアの水素原子模型を題材に、円運動、万有引力と静電気力、量子条件、振動数条件について問う問題であった。問1は、円運動の角速度と向心加速度に関する問題で、力学の基本的な力が問われた。問2は、陽子と電子の間にはたらく万有引力と静電気力の大きさの比について、およその桁数を問う計算問題であった。問3は、電子のエネルギーが軌道半径に反比例することを知っていると解答しやすい問題であった。問4は、振動数条件に関する基本的な問題であった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2021年度 62.36点
  • 2020年度 60.68点
  • 2019年度 56.94点
  • 2018年度 62.42点
  • 2017年度 62.88点

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