第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「数学Ⅰ・数学A」の問題分析は次の通り。

第1問で三角比の表、第2問でグラフ表示ソフトの問題が出題。昨年より難化

第1問〔2〕では現実事象を扱い、三角比の表を利用する問題が出題された。第2問〔1〕ではグラフ表示ソフトを用いた対話形式の問題が出題された。選択肢の問題は8~10問(解答数12~16)であり、昨年より3~4ページ少なかった。導入部分から取り組みにくい問題が多く、昨年より難化。

大問数・解答数

昨年と同様で5大問。第1問と第2問が必答で第3問~第5問の中から2大問を選択する形式も昨年と同様。必答の第1問は3中問形式、第2問は2中問形式の出題であった。

出題形式

昨年と同様、数字を答える形式が中心で、選択肢から選ぶ問題は8~10問であった(解答数は12~16)。第1問〔2〕、第2問〔1〕は対話形式で、第2問〔1〕でグラフ表示ソフトを素材とした問題が出題された。

出題分野

例年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

ページ数は20ページ(下書き用紙除く)で、昨年より3~4ページ減少した。

難易

昨年より難化。

大問別分析

第1問「数と式」、「図形と計量」 (30点・標準)  〔1〕、〔2〕は数学Iと共通、〔3〕は数学Iと一部共通 必答

〔1〕は、a、b、cの3文字の対称式などに関する問題。(2)は、(1)を利用して考え、落ち着いて計算するとよい。〔2〕は、異なる縮尺で表された長さを考慮して、角の大きさを考える現実事象の問題。三角比の表を用いて、山頂の仰角を考察する基本的な問題。〔3〕は円に内接する三角形ABCの頂点Aから直線BCに引いた垂線の長さに関する問題。sinの定義および正弦定理を用いて計算していく。(1)の具体的な値での計算を踏まえて、(2)を考えることができたかどうかがポイントであった。AB、ACの長さが直径以下になることを利用できたかどうかで差がついたと考えられる。

第2問「2次関数」、「集合と命題」、「データの分析」 (30点・標準)  〔1〕は数学Iと共通、〔2〕は数学Iと一部共通 必答

〔1〕(2)は、2つの2次方程式の少なくとも一方を満たす実数の個数が3個になるときの係数を対話形式で求める問題。(3)は、2次関数のグラフが係数の変化によってどのように動くかをグラフ表示ソフトで考察する問題。(4)は、2つの2次不等式の解についての論理の問題であった。前設問からの誘導が少ないため、少し解きにくかったであろう。 〔2〕は、29か国における日本語教員数や学習者数についての実際のデータを扱った問題。(1)はヒストグラムの読み取り問題で、階級値や四分位数などの基本事項の正しい理解が問われた。(2)は箱ひげ図とヒストグラムから正しい散布図を選ぶ問題で、判断しやすい点に注目できたかがポイントであった。(3)は与えられた統計量から相関係数を求める問題で、相関係数についての正しい理解が問われた。(4)は散布図を選ぶ問題で、平均値や相関係数からグラフを絞り込む必要があり、今までに見られない問題であった。

第3問「場合の数と確率」 (20点・標準)  選択

複数人でプレゼント交換会を行い、全員が自分以外の人の持参したプレゼントを受け取る確率を求める問題。(1)は少人数の場合から考察を始めている。丁寧に配り方を書き出し、正確に数え上げればよい。(2)では、「構想」の意図を正確に理解することがポイント。(3)以降は、(1)の考え方や、(2)の「構想」を利用して解き進めればよい。

第4問「整数の性質」 (20点・難)  選択

3つの1次不定方程式を題材にした問題。初めの1次不定方程式の解を利用して、係数のより複雑な後半の1次不定方程式の解を求める必要があった。(2)までは考えるべき数値は大きいが、見慣れたものに近いので落ち着いて計算をすればよい。(3)は式の形は前半のものと同様だが、なじみがなく、差がつきやすい問題であった。(4)は(3)と同様にすればよいが計算力をかなり要する。

第5問「図形の性質」 (20点・難)  選択

三角形と線分の比に関する平面図形の問題。重心の性質、メネラウスの定理、方べきの定理を状況に応じて使い分ける力が求められた。条件をもとに図をかくことが難しい題材であった。(1)のケは点Eが辺BCの中点であることに気づく必要があった。(2)、(3)では(1)の結果を利用することに着眼できるかどうかで差がついたと考えられる。BP/AP+CQ/AQがDE/ADの2倍になることに気づくことがポイントであった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2021年度 57.68点
  • 2020年度 51.88点
  • 2019年度 59.68点
  • 2018年度 61.91点
  • 2017年度 61.12点

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