第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「国語」の問題分析は次の通り。

複数テキストを比較・関連付ける応用的思考力を問う設問が出題。昨年よりやや難化 

全体としての本文の分量は、ほぼ昨年並。設問数は変更がなく、解答数は減少。第1問では生徒の作成したメモを用いて2つの文章の比較と統合を求める出題が、第3問では同じ場面を描いた別ジャンルのテキストを比較させる出題がなされた。昨年以上に、複数の文章や資料を関連付ける力が求められ、やや難化。

大問数・解答数

大問数4、設問数22問は昨年から変更なし。解答数は第1問で1個、第2問で1個減り、全体として2個減(38→36)。

出題形式

第1問は、食べることについて考察した2つの文章が示され、問6ではメモの空欄を埋める出題があった。第2問は、文章は単一テキストだったが、問5でノートと俳句の提示があった。第3問は、同じ内容の複数のテキストからの出題で、問4で教師と生徒の話し合いを題材とする出題があった。第4問は、漢詩とその序文による出題だった。

出題分野

昨年と同様、近代以降の文章2題、古文1題、漢文1題という構成であった。

問題量

第1問は文章Iが2200字、文章IIが1300字、資料1点。第2問は3200字と資料1点。第3問は文章Iが380字、文章IIが800字。第4問は205字であった。

難易

昨年よりやや難化。

大問別分析

第1問 「近代以降の文章」 (50点・標準)  檜垣立哉『食べることの哲学』/藤原辰史『食べるとはどういうことか』

「食べる」ことについての論理的文章2つを組み合わせた出題。主たる文章とノート・資料文という形だった昨年に比べ、複数テキスト性はより強まっている。設問は、問1の漢字で従来型に加え意味を絡めた出題があったのが新傾向。問2~問4は通常の読解設問、問5は表現に関する設問。問6は、生徒の作成したメモという体裁で同一テーマの2つの文章の比較と統合を求める応用的思考の設問となっている。センター試験踏襲色の濃かった昨年に比べ、共通テストらしさのより強まった出題だと言える。

第2問 「近代以降の文章」 (50点・標準)  黒井千次「庭の男」

昨年の第1日程と異なり、現代作家からの出題。隣家の立看板に思い悩む主人公の姿が描かれている。本文の分量は減少。設問数と解答数は1ずつ減だが、枝問が多く応用的思考を試す設問もあり、解答にはやや手間がかかる。第1問で語義を絡めた出題があったからか、第2問には語義を問う設問がなかった。主人公の心情を問う従来型の設問を基調にしつつ、問5で生徒のノートという体裁をとり、本文中の語句に関わる国語辞典の記述や歳時記中の俳句を引いたうえで、本文の内容と関連させて考える応用的思考の設問が出題された。

第3問 「古文」 (50点・難)  『増鏡』/二条『とはずがたり』

『増鏡』と『とはずがたり』からの出題。本文の分量は昨年とほぼ変わらない。問2の語句や表現に関する設問、問3の院の言動についての説明は従来通りの出題形式だったが、問4の教師と生徒との話し合いの形で、歴史物語と日記の表現の違いに注目させる設問は、目新しいものであった。2つの文章をよく読み比べて、人物関係と心情を読み取ることが求められた。

第4問 「漢文」 (50点・標準)  阮元『■(けん)経室集』(「けん」は「研」の下に「手」)

漢詩とその序文の組合せによる出題。漢詩の出題は2020年度センター本試以来3年連続である。詩と文章の組合せという点で、共通テストの新傾向である複数テキストによる出題と言えるが、文章の内容が主に問われた。問4の漢詩に関する設問は、センター試験と同様、規則についての出題であった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2021年度 117.50点
  • 2020年度 119.33点
  • 2019年度 121.55点
  • 2018年度 104.68点
  • 2017年度 106.96点

第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【正解】【分析