【第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析】
データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「地理A」の問題分析は次の通り。
― 具体的な場面をもとに多様な地図の活用が求められた。難易は昨年よりやや難化 ―
地理Aで学ぶ知識をもとにより深く出題された。変化を問う出題が多く、設問を注意深く読み、多様な資料を活用する力が問われた。第1問の問3では具体的な場面が設定され、そのなかでGISの活用について問われた。出題内容は標準的で、難易は昨年よりやや難化。
大問数・解答数
昨年同様大問数5、解答数30、第5問は地理Bとの共通問題であった。
出題形式
昨年と同様に、地図・図表などの多様な資料を用いた問題が中心であった。参照する資料の数はグラフが増加した。出題形式は昨年と同様に組合せによるものが多くみられた。
出題分野
大問構成は昨年から変更なし。
問題量
昨年並。
難易
昨年よりやや難化。
大問別分析
第1問「地図の読み取りと活用、日本の自然災害」 (20点・標準)
さまざまな地図の活用と日本の防災について出題された。自然環境、自然災害にかかわる幅広い知識と図を正確に読み込む力が問われた。問3はGISを用いて、街づくりの視点から役所の支所の配置とその立地の根拠を考える問題。地図の活用能力が問われたが、題意を正しく読み取ることに苦労した受験生も多いであろう。問4は火山防災マップとそれに衛星画像を地形の3Dモデルに重ねた図から各地点の火山災害の危険性を判断する問題。説明文の内容を図と丁寧に照らし合わせて、該当する位置を特定する。
第2問「世界の生活・文化」 (20点・標準)
世界各地の生活・文化について、食文化や生活様式、言語などについて幅広く出題された。全体を通して詳細な知識が要求された。問3は生活や産業に風の影響がみられる地域を問うているが、典型的な地域ではなく、判断に迷った受験生もいるだろう。問6はオーストラリアにおける出生地割合と家庭での使用言語の割合の変化を考える問題。表1からオーストラリアでアジア系を含む移民による多様化が進んだこと、図5からそれがシドニー大都市圏でみられることを読み取ることで判断できる。
第3問「東アジアの地誌」 (20点・やや難)
東アジアの気候、生活・文化、貿易について出題された。統計資料に関する詳細な知識が問われ、またグラフや図・表を理解するのに時間を要したと思われる。問2は東アジアの3つの異なる文化圏の自然環境・文化を麺類の種類で問う、地理Aらしい問題。問3は日本、韓国、中国の小麦と米の1人当たり年間供給量の変化について考える問題。日本における米離れ、または中国で小麦・米両方の供給量が増加していることに着目できたかどうかが判断のポイントであった。
第4問「地球的課題」 (20点・標準)
地球的課題についてさまざまな資料を用いて幅広く問われた。問2はフードマイレージについて具体例をもとに考える問題。数値が与えられてはいるが、計算することではなく具体的に考えることが求められた。問4は自動車保有台数と、人口千人あたりの窒素酸化物排出量を示した図を読み取る問題。シ・スの傾きからYが2015年と判断し、自動車保有台数の伸びからサがポーランドと判断できる。
第5問「北海道苫小牧市とその周辺の地域調査」 (20点・標準)
北海道苫小牧市とその周辺について地形図、写真など多様な資料が扱われた。地域を探究する場面設定の出題で、資料を丁寧に読み取り、活用する地理的技能が問われた。問6は地域の調査結果をもとに、1995年から2015年にかけての人口増減に関して考察する問題。市の地域ごとの人口の増減を読み取り、地域の状況に応じた問題解決の取組みを選択する力が求められた。地理Bとの共通問題であるが、地理Aの学習内容でも対応可能であった。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2021年度59.98点
- 2020年度54.51点
- 2019年度57.11点
- 2018年度50.03点
- 2017年度57.08点