データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「政治・経済」の問題分析は次の通り。
― 多様な資料を用いた出題で、論理的な判断力が問われた。難易は昨年よりやや易化 ―
「倫理、政治・経済」との共通の設問が4大問中3大問で出題された。多様な場面設定から展開する問題がみられ、多くの設問で資料文、図表、模式図、概念図などの資料が使用された。論理的に判断する力が求められる一方で、基本事項の理解を問う問題もみられたため、難易は昨年よりやや易化。
大問数・解答数
大問数4は昨年から変更なし。解答数は30個で昨年と比べて1個減少した。第1問・第2問・第4問の一部は「倫理、政治・経済」との共通問題。
出題形式
昨年と比べて、組合せ問題(16→18)と7択以上の問題(9→11)が増加し、誤り選びの問題(4→1)と4択の問題(20→17)は減少した。全大問が生徒の学習活動を場面にしたものであった。また、図を選択する問題や並び替えの問題が出題された。
出題分野
国際政治・国際経済分野からの出題がやや減少したが、「政治・経済」の幅広い範囲からバランスよく出題され、大問のテーマや設問で各分野を融合した出題がみられた。
問題量
ページ数が増加(34→38)し、昨年よりやや増加。
難易
昨年よりやや易化。(昨年は得点調整が行われたため、問題自体の難易を比較)
大問別分析
第1問「地方自治と法制度」 (26点・やや易)
政治分野・経済分野からの出題。「市街地活性化」や民泊を切り口に出題された。問4は、公共の福祉の概念を資料文や会話文に当てはめて考察することが問われた。問5では、農業に関する法制度の内容の変遷を理解できていたかが問われた。
第2問「日本における経済主体の関係」 (26点・標準)
経済分野・国際経済分野からの出題。すべての設問で思考力が問われた。問2は問題文と会話文の内容から、適切な図を選ぶ問題であった。環境問題について図式化する視点が求められた。問4ではマネーストックとマネタリーベースの違いについて正確な知識が問われた。問7は需要供給曲線に関する問題。災害後の調整方策の具体例を読み、供給曲線が動く要因を考察する力が問われた。
第3問「家計からみる経済」 (26点・標準)
政治分野・経済分野・国際政治分野・国際経済分野からの出題。メモや表、グラフなど多様な資料をもとにして考察する問題が目立った。問5は消費税率の引き上げという時事的な内容をふまえて、消費税の逆進性について考えさせる問題であった。問7は、為替レートや経常収支などについての正確な知識を使ってグラフの意味を読み取る必要があり、判断に迷った受験生も多かったであろう。
第4問「住民生活の向上と地方自治」 (22点・やや易)
政治分野・経済分野からの出題。地方自治を中心に、基本的な知識が問われた。問3は会話文の内容をもとに資料を確認し、当てはまる組合せを考察する問題であった。問5は地方自治の財源の構成についての知識をもとに、提示された文章を読み解いたうえで判断する必要がある。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2021年度 57.03点
- 2020年度 53.75点
- 2019年度 56.24点
- 2018年度 56.39点
- 2017年度 63.01点