2021年度大学入試は大学入試センター試験にかわって大学入学共通テストが導入された。22年度入試は2度目の実施となるが、どのような対策が必要か。高校1・2年生から共通テストを意識して備えておくべきことはあるか。河合塾教育研究開発本部の近藤治さんに聞いた。(黒澤真紀)

共通テストはこれまでの大学入試にない形式

――共通テストの対策を教えてください。

受験生は、いろいろなタイプの問題にあたっておいたほうがいいです。書店に行けば共通テスト対策の問題集や参考書、模擬試験がずらりと並んでいます。それをどんどん解いていきましょう。共通テストは、ほとんどの教科の出題で場面設定や対話文が多く、複数の資料を読み解く設問など、これまでの大学入試ではなかった傾向の問題が非常に多く、それに慣れる必要があります。英語や数学などページ数が増えた教科が多いのですが、問題文の全てが解答に必要ということではありません。問題文を読解する国語の力が必要になるかも知れません。英語の試験で英語以外の力、数学の試験で数学以外の力も必要です。

 高校1、2年生、特に1年生は、今からこうした問題に取り組む必要はないです。基礎・基本を大切にするというのが一番の対策です。2年生は、3年生の先輩たちが年明けに共通テストを受けた翌日、新聞に問題が載るのでいったん解いてみるのをおすすめします。英語、国語、数学Ⅰは、2年生でも十分解ける範囲から出題されています。これまでに習った範囲で構いません。受験の1年前に、共通テストの問題を知っておくと随分違うと思います。

 

苦手科目をつくらないこと

――日々の勉強で気をつけることはありますか?

苦手科目を作らないことです。多少の苦手ならいいですが、見るのも嫌という科目があるとやっかいです。苦手科目の勉強時間はどうしても少なくなります。そのため、取り返すのにものすごく時間がかかるんですね。国公立大学を目指す生徒さんは共通テストがありますから特に意識してください。

2021年度大学入学共通テスト本試験(第1日程)の平均点

――最後に、受験生にメッセージをお願いします。

共通テストは、初年度と出題の方向性が変わる可能性があります。去年の平均点が高かったため、2年目の難易度は上がると予測しています。つまり、平均点が下がる可能性が高いです。そこで点数が下がっても、自分だけが点数をとれなかったわけではない」という冷静な対応が必要です。常に自分の位置を、客観的に冷静に見極めるのも、入試を突破するうえで大切です。

去年はコロナ対策として共通テストの日程が3回用意されていましたが、今年は2回になり、例年と同じに戻りました。21年度入試でも共通テストでクラスターが発生した話はありませんでしたし、試験中は一言も言葉を発しないでじっとしているのだから、試験会場ほど安全な場所はないといえます。もちろん、感染対策は万全にしていただいたうえで、去年より安心して受験できると思います。

近藤治さん
こんどう・おさむ 学校法人河合塾教育研究開発本部主席研究員。河合塾入塾後、教育情報分析部門で大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。マスメディアへの情報発信、生徒、保護者、高校教員対象の講演を多数実施。