2021年1月16日(土)・17日(日)に実施された大学入学共通テストについて、データネット実行委員会(ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が共催)と河合塾による科目別の難易度と講評をまとめた。

科目別の難易度・講評

国語

データネット昨年センター試験より難化。昨年のセンター試験と比べて、設問数は減少、解答数は増加。センター試験の出題傾向を踏まえつつも、第1問では、文章を理解するために作成されたノートを用いた出題が、第4問では、詩と文章との複数テキストでの出題がなされるなど、試行調査と同様、複数の文章や資料を関連付けて考える力が求められた。

河合塾(現代文)第1問は、標準的な難易度の評論からの出題。第2問は古い時代の小説ではあるものの、センター試験から出題されてきた同種の作品に比べれば読みやすく、設問もおおむね素直ではある。(古文)和歌が五首出題されており、そのうち四首が設問に関わっていることや、設問も難しく、選択肢も紛らわしいものがあったため、やや難しい(漢文)複数の問題文が提示され、双方の問題文にかかわる問題が二題設けられたことや、意味を捉えにくい語句が扱われたので、やや難と言える。

英語(リーディング)

データネット昨年センター試験より難化。すべて読解問題となり、題材は日常的なものから意見文や叙述文まで様々な内容が扱われた。設問では意見と事実の区別を問うものやプレゼンテーションのスライドを完成させるもの、解答として当てはまるものを二つ選ぶもの等が出題された。読解量が大幅に増加し、多面的に情報を処理することが求められた。

河合塾難化。発音問題や文法問題があったセンター試験と異なり、すべて読解問題になったため読み取りに時間がかかるようになった。また、総語数もセンター試験から大幅に増加したため、難化した。

英語(リスニング)

データネット: 昨年センター試験並。昨年センター試験と比べて音声情報と図表などの視覚情報を組み合わせて答える問題が増えた。日本語で設問の状況を与えられるなど、各場面や目的に応じた聞き取りを要する実践的な英語力が問われた。第3問以降は音声が1回しか流れなかったものの、取り組みやすい問題も多く、難易は昨年センター試験並

河合塾:昨年のセンター試験(試験時間30分)では読み上げ総語数が1,142語であったのに対し、今回の共通テスト(試験時間30分)では1,528語と分量が増加した。また、第3問以降の読み上げ回数が1回になったため、センター試験と比較して難しくなった

世界史A

データネット:従来のセンター試験に比べ、諸資料を丁寧に読み込むことが求められる出題が目立った。単純な歴史用語の暗記ではなく、意味や意義までしっかり把握できているかが問われる問題も増加している。文章の精読が必要となり、かつ戦後史からの出題が大幅に増加したため、昨年センター試験よりやや難化

河合塾出題内容はセンター試験と同レベルであったが、資料・グラフを読み取って判断する問題が多く出題された。資料やグラフから読み取った情報と、歴史的知識を合わせて判断させる思考力や判断力を問う問題で、論理的に考えることができたかどうかで差がつく問題であった。

世界史B

データネット昨年センター試験より難化。昨年のセンター試験と比べると、多様な資料の読解が求められ、思考力を要する問題が大幅に増加したため、昨年センター試験よりも難化。リード文と設問の関連性も昨年のセンター試験と比べて大幅に高まった。

河合塾:資料を多く読む必要があり、形式が複雑であることから、難度はやや上がった。グラフを読み取る問題を含む第2問以外は、すべての大問に資料の文章を読み取る問題が含まれた。

日本史A

データネット:日本史Bとの共通大問は昨年のセンター試験と同様に2大問出題された。祖父との会話や手紙、生徒のまとめ学習、日本史の授業プリントなど様々な場面設定が設けられ、明治時代から平成時代まで幅広く出題された。初見資料も含めて資料は多彩だったが読み取りは難しくなく、難易は昨年のセンター試験並

河合塾ここ数年のセンター試験と同じくらいの難易であった。グラフや資料の読解など単純な知識だけでは正答できない問題が見られた。一方、歴史事項の西暦年の知識を求める問題が多く見られた。

日本史B

データネット:大問数6は昨年のセンター試験から変更なしだが、解答数は4個減少して32個となった。史料、地図、写真などの多様な資料が用いられ、史資料の読解力が重視された。社会経済史の出題は増加し、現代史の割合も増加した。基礎・基本の知識を要する設問もあるが、昨年センター試験よりもやや難化

河合塾センター試験よりもやや難化。小問間の難易差はあるものの、全体としては標準レベルの問題である。しかし、従来のセンター試験に比べて、多様な資料を用いた出題が増加し、受験生に「思考力・判断力」を求める姿勢がより一層鮮明になった。

地理A

データネット:大問全体でテーマを持った出題がみられた。第2問では食生活が題材に展開され、関連する事項の基本的な知識や地理的思考力が要求された。全体を通して初見の図表が多く、情報を正確に読み取る力が問われたが、出題内容は標準的で、難易は昨年センター試験並

河合塾標準。センター試験と同様に、大半が教科書に準拠した問題で構成されており、図表から読み取りやすい問題が多く、判断に悩むものも少なかった。

地理B

データネット:仮想の地域の地図や、地理院地図を含む多様な資料が用いられ、図表読解力と地理的思考力が問われた。第1問は探究活動や授業の場面設定で大問が展開された。問われた知識は標準的であったが、限られた時間の中で正確に資料を読解する力が問われ、昨年センター試験よりやや難化

河合塾:大問数、マーク数とも減少したが、図表の読み取り問題がほとんどで、単純な文の正誤判定問題がなくなったので、解答に時間がかかり、センター試験より難しくなった

現代社会

データネット:身近なテーマから現代の社会の課題について出題され、全体として多様な出題形式によって思考力が問われた。模式図など様々な資料が使われ、全体の文章量はこれまでのセンター試験と比べて増加した。様々な文章資料を読み取り考察する力が求められる一方で、丁寧に読み解けば解答できる問題も出題されたので、難易は昨年センター試験並

河合塾これまでの平均的なセンター試験とほぼ同程度の難易度と思われる。センター試験で出題されてきたような知識問題の難易の水準には大きな変化がみられない。また、新形式の設問に関しても、設問の指示を読み取るのにやや時間がかかるが、問われている内容は教科書の範囲の標準的な学習で対応できる。

倫理

データネット:出題分野は第1問で源流思想、第4問で青年期と現代の諸課題が扱われた。形式は従来のリード文に加え、生徒の会話やレポートが増えるなどの変化があった。思想家の考え方の理解をもとに、現代の倫理的諸課題について考察する問題が多く、資料も多用された。取り組みやすい問題も多く、昨年センター試験よりやや易化

河合塾:会話文と資料文の両方を読み比べて解答しなければならない設問など、これまでのセンター試験と比較して、思考力や読解力が問われる問題が増加したが、全体の難易度に大きな変化は見られなかった

政治・経済

データネット昨年センター試験よりやや難化。「倫理、政治・経済」との共通の設問が4大問中3大問で出題された。基礎的事項の深い理解が求められ、具体的な事象にあてはめる問題や資料を読み取る問題がみられた。

河合塾:マーク数は減ったが、資料や文章の読み取り能力が問われる出題が増加した。これまでのセンター試験と比べてやや難化した。過去のセンター試験で出題されてきた教科書レベルの知識だけでなく、設問の指示にしたがって資料や図を読み取るのに時間がかかると思われる。

倫理、政治・経済

データネット:すべての設問が単独科目「倫理」および「政治・経済」と共通であった。倫理分野では、基本的な事項を問う問題が中心であったが、リード文と会話文を結び付けて考える問題がみられた。政治・経済分野では資料や模式図を用いた問題がみられた。特に政治・経済分野では考察問題が多く、昨年センター試験よりやや難化

河合塾倫理分野については、文章資料と会話文の両方を読み比べて解答する必要のある、思考力や読解力が試される問題も出題されているが、難易度に大きな変化は見られない政治・経済分野については、設問の指示を読み取るのにやや時間がかかると思われるものや、正しい記述の組合せを考えさせるなど、選択肢の構成がやや複雑な設問が見られ、やや難化した。しかし、問われている内容は教科書の知識やその応用で解答を確定できる。

数学Ⅰ

データネット:昨年までのセンター試験の出題を踏襲しつつ、試行調査でも見られたような日常生活に関わる題材や対話形式の問題が出題された。また、第2問のように具体的な数値ではなく、一般的に条件が変化したときに適するものを選ぶ問題形式は目新しい出題であった。昨年センター試験よりやや難化。

河合塾:掲載準備中

数学Ⅰ・数学A

データネット:昨年センター試験と比較すると、大問数、配点は変わらず、一方で試験時間増加に伴い文章量や計算量は増加した。第1問、第3問の一部で会話形式の問題が出題され、第2問「2次関数」で陸上競技のストライドとピッチに関する現実の事象を題材とする問題が出題された。難易は昨年センター試験並

河合塾:日常の事象を題材とした問題や会話文の問題が出題され、戸惑った受験生も多かったと思われる。また、誘導のない問題もあり、思考力を問う設問も多かったため、近年のセンター試験と比べるとやや難しかったであろう。

数学Ⅱ

データネット:大問数・配点ともに昨年のセンター試験と同様。第2問、第4問は、前半で、具体的な数値を計算し、後半では、前半の結果を利用して、一般化し発展的に考える問題構成になっている。第1問〔2〕は、前半の問題を具体的な条件として後半の問いに活用できるように誘導があり、一般化したものを選ぶ目新しい問いとなっている。計算量が減ったこともあり、昨年センター試験よりやや易化

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数学Ⅱ・数学B

データネット:昨年のセンター試験と比較すると、大問数、配点は変わらず、ページ数は増加したが、計算量はやや減少。関数の性質やグラフの特徴を考察する問題、会話形式での問題が、試行調査と同様に出題された。また、これまでのセンター試験では第5問であった「確率分布と統計的な推測」が第3問で出題された。難易は昨年センター試験並

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物理基礎

データネット:物理基礎の内容から幅広く問われた。カッターの消費電力を求める問題では、商品ラベルから必要な情報を読み取り、学んだ知識を活用する目新しい出題があった。スマートフォンを用いて台車の加速度を測定し、記録テープを用いた結果との違いを考察する問いもあり、昨年センター試験よりやや難化

河合塾:すぐに解答が求められる問題もやや増えているが、データを読み取って計算する問題や、センター試験よりやや思考力を要する問題があるため、若干難しくなったと思われる。

化学基礎

データネット:第1問では、原子の質量数や原子番号の数値そのものをマークする形式で解答させる点が目新しい。第2問では、実験の題材として陽イオン交換樹脂が扱われ、問題文を正確に読み解き、実験操作や実験結果を考察する力が求められた。基本的な問題が数多く出題され、昨年センター試験より易化

河合塾:思考力を要する問題も出題されたが、大半はセンター試験と同じ形式・レベルの問題であり、難易度はセンター試験とほぼ同じであった。

生物基礎

データネット:昨年のセンター試験と比べて解答数は減少したが、設問文が長くなり題意の読み取りに時間を要するとともに、考える要素が大幅に増えた。ウイルス感染を題材とする設問が複数出題された。知識のみを問う問題の割合が減り、初見の資料を知識を踏まえて解釈する必要のある設問が多く出題され、昨年センター試験より難化した

河合塾:「思考力・判断力を問う」という共通テストの作成方針を反映して、図や資料が多用され、単純に知識を問う形式の問題が減少したため、センター試験よりもやや難化した

地学基礎

データネット:課題の把握から解決までの過程が幅広く問われた。第1問では実験・観察が多く題材とされたほか、仮説検証の方法についても問われた。第2問では台風による海面上昇量の推定が扱われた。また、温暖化に関連して気候のフィードバックについても出題された。昨年のセンター試験より取り組みやすい問題が多く、やや易化した

河合塾:単純な知識を問う問題は減少し、思考力を問う問題が増えたが、難しい問題は少なく、難易度にほぼ変化はない

物理

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化学

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生物

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地学

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