第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「数学Ⅱ」の問題分析は次の通り。

初見の反応や実験の問題が多く出題され、読解力や思考力が要求された

大問数が昨年の7問から5問に減少し、配点は全大問20点に変更された。読解力や思考力を要する問題が数多く出題された。鉄の錯イオンに関わる見慣れない実験を題材にした問題や、グルコースの実験を題材にした必要に応じて方眼紙を使う問題が目新しい。昨年センター試験よりやや難化。

大問数・解答数  

昨年のセンター試験と比べて大問数は7から5に減少、解答数は28個に減少(昨年のセンター試験は32個)。

出題形式

数値選択問題を中心に出題された。昨年までのセンター試験でみられた選択大問はなくなり、全問必答となった。

出題分野

昨年のセンター試験と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

昨年のセンター試験と比べて29ページであったページ数は23ページになり、減少。

難易

昨年センター試験よりやや難化。

大問別分析

第1問「物質の状態と平衡」 (20点・解答数5) 

金属元素の基本的性質、体心立方格子に関する文字式の計算、物質の溶解と分子間力、エタノールの蒸気圧曲線について出題された。問4aは、問題文で与えられた操作から求めたエタノールの蒸気圧をもとに、蒸気圧曲線からエタノールが凝縮するときの温度を読み取る問題で、その温度の数値そのものをマークする解答形式で問われている点が目新しい。bは、2種類のシャルルの法則のグラフと、蒸気圧曲線から、問題文の操作に合わせた圧力の変化を読み取る問題で、蒸気圧と気体の状態方程式を結びつける力が問われた。

 

第2問「物質の状態と平衡、物質の変化と平衡」 (20点・解答数5) 

化学反応と光、空気亜鉛電池、水の状態変化・分子間の結合・エネルギーの関係について出題された。問2は、見慣れない空気亜鉛電池が題材の計算問題であった。問3aは、水の状態図が与えられていないので、描いて考える必要があった。問3bは、氷の昇華熱から水素結合を切断するのに必要なエネルギーを算出する問題であり、水1molあたりの水素結合数が2molであることがわかったかがポイントであった。問3cは、融解熱、蒸発熱、比熱を考慮した計算問題であり、多くの情報を適切に処理する必要があった。

第3問「物質の変化と平衡、無機物質」 (20点・解答数6) 

金属単体の製法や反応についての知識問題、錯イオンの光による反応についての実験内容を理解して考察する問題が出題された。問1では、ナトリウムの製法についての反応と量的関係が問われた。問2は、金属単体の反応から金属を特定する問題であり、周期表の知識も必要であった。問3は、鉄の錯イオンの光による反応について、結果を考察する問題であった。見慣れない実験内容を理解したうえで鉄イオンの検出や反応量に関して計算する力が求められた。特に問3cは、反応した錯イオンの割合を問う点が目新しい。

第4問「有機化合物、高分子化合物」 (20点・解答数6) 

芳香族化合物の反応、油脂、アルコールの酸化と脱水、合成高分子化合物、ポリペプチドなどが出題された。問3aでは、アルコールの分類と酸化生成物の関係が問われた。問3bは、アルコールの脱水生成物の異性体の数を考える問題であった。問5は、ポリペプチド鎖の分子量と単量体となるアミノ酸の分子量、らせん構造のひと巻きのアミノ酸単位の個数から、ポリペプチド鎖の全長を求める目新しい問題であった。

第5問「物質の変化と平衡、天然高分子化合物」 (20点・解答数6) 

グルコースの水溶液中での平衡と反応に関する問題であった。問1aはα-グルコースとβ-グルコースの平衡反応の量的関係を問う問題であった。問1bはα-グルコースの変化量をグラフに正確に描き、そこから変化に要した時間を読む必要があった。問1cは、新たに追加したあとの平衡時の量を求めるために、平衡定数を導く必要があり、思考を要する問題であった。問1bcは、問1aの解答をもとに答える必要があった。問2は、グルコースの還元性を示す理由を正しく考えて、グラフを選ぶ問題であった。問3aは、教科書では扱われていないグルコースの酸化分解に関する問題であった。問3bは、グルコースの反応の量的関係で、炭素原子に着目すれば導きやすい問題であった。

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