データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「生物基礎」の問題分析は次の通り。
設問文の量が大幅に増加。知識を踏まえたグラフの読解と思考力が求められた
昨年のセンター試験と比べて解答数は減少したが、設問文が長くなり題意の読み取りに時間を要するとともに、考える要素が大幅に増えた。ウイルス感染を題材とする設問が複数出題された。知識のみを問う問題の割合が減り、初見の資料を知識を踏まえて解釈する必要のある設問が多く出題され、昨年センター試験より難化した。
大問数・解答数
昨年のセンター試験から大問数3は変更なく、昨年23個であった解答数は16個に減少した。
出題形式
語句選択問題を中心に出題された。
出題分野
昨年のセンター試験と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。
問題量
昨年センター試験では16ページであったページ数は20ページになり、昨年のセンター試験と比べて増加。
難易
昨年センター試験より難化。
大問別分析
第1問「生物と遺伝子」 (18点・解答数6)
「生物と遺伝子」の分野から知識をもとに判断する必要のある問題が多く出題された。Aは、細胞の共通性と代謝に関する知識をもとに解く問題で、宿題プリントや授業用プリントを利用した問題の流れは目新しい。Bは、生物の遺伝子に関する知識問題と実験考察問題で、問6では転写・翻訳に関する実験を題材に、探究の過程について科学的な思考力が求められた。
第2問「生物の体内環境の維持」 (16点・解答数5)
「生物の体内環境の維持」の分野から、知識を活用する問題を中心に出題された。Aは、塩類濃度の調節に関して、知識と考察力を問う問題であった。問2は、ゾウリムシの細胞内の塩類濃度調節に関して、問題文で与えられた情報をもとに設問文の設定条件に合うグラフを選ぶ問題であった。Bは、免疫に関する問題であった。問3は、設問文とグラフから情報を正確に読み取る必要があった。
第3問「生物の多様性と生態系」 (16点・解答数5)
「生物の多様性と生態系」の分野から、知識を使ってグラフを読む問題が多く出題された。Aでは、世界のバイオームについて、地球温暖化と関連づけてバイオームの変化を推論する設問が出題された。Bでは、生態系の保全について、ワクチンの効果と関連づけて牛疫を根絶したしくみを推論する設問が出題された。ワクチンの効果を生物の集団と関連させて問う出題は目新しかった。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2020年度 32.10点
- 2019年度 30.99点
- 2018年度 35.62点
- 2017年度 39.47点
- 2016年度 27.58点