第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「国語」の問題分析は次の通り。

センター試験を踏まえつつ、複数テキストや応用的思考の設問など新傾向の出題も

昨年のセンター試験と比べて、設問数は減少、解答数は増加。センター試験の出題傾向を踏まえつつも、第1問では、文章を理解するために作成されたノートを用いた出題が、第4問では、詩と文章との複数テキストでの出題がなされるなど、試行調査と同様、複数の文章や資料を関連付けて考える力が求められた。昨年センター試験より難化。

大問数・解答数

大問数4、各大問の配点50点は昨年センター試験から変更なし。設問数は第1問で1問、第3問で1問減り、全体として2問減(24→22)。解答数は第1問で1個、第4問で2個増え、全体として3個増(35→38)。

出題形式

第1問は妖怪に関する単一の文章の出題。問5で文章の内容を理解するために作成したノートが3つ示され、そのなかに出典の別の箇所で引用されている芥川龍之介の小説「歯車」の一節も含まれていた。第2問も単一の文章の出題。問6では、文章に関する批評の一部が示された。第3問は、和歌を複数含む単一の文章の出題。第4問は「御術」についての詩と漢文の複数テキストが題材であり、文章に関するイラストも示されていた。

出題分野

昨年までのセンター試験と同様、近代以降の文章2題、古文1題、漢文1題という構成であった。

問題量

第1問は3300字、第2問は3600字、第3問は900字。第4問は、問題文Iが110字、問題文IIが66字だった。

難易

昨年センター試験より難化。

大問別分析

第1問 「近代以降の文章」 (50点・解答数12)  香川雅信『江戸の妖怪革命』/芥川龍之介「歯車」

「妖怪」の歴史的変遷について論じた論理的文章。設問中で原典の別の箇所に言及し、そこで引用された小説の一節を取りあげるなど複数テキスト型の出題となっている。設問は、問1は漢字、問2~問4は文中の対比関係などを把握する力を問うオーソドックスな読解設問。問5が生徒の作成したノートという体裁(平成30年度試行調査の第1問で出題された形式に近いもの)で、実用的場面を想定し、複数テキストにより応用的思考力を問うものとなっている。本文および問4までは昨年までのセンター試験を概ね踏襲しつつ、問5では共通テスト特有の設問を出題するという構成だといえる。

第2問 「近代以降の文章」 (50点・解答数9)  加能作次郎「羽織と時計」/宮島新三郎「師走文壇の一瞥」

近代作家の文章の一節。「私」とW君との交流が「羽織と時計」をめぐる話として描かれている。問1は語義の設問。問2~問5は人物の心情を場面の展開に沿って問うもので、昨年までのセンター試験の小説での設問形式を踏襲している。問6は当時の批評家の文章を掲げた複数テキストの形で新傾向の出題。掲げられた批評文と問題本文とを関連付けて読み解きつつ、批評文とは異なる見解を考える発展的思考力も求められている。

第3問 「古文」 (50点・解答数8)  『栄花物語』/『千載和歌集』

『栄花物語』からの出題。『栄花物語』は平安時代の歴史物語。本文の分量は、昨年のセンター試験の約1300字から約900字へと大きく減少した。問3の表現に関する設問、問4の登場人物についての設問、問5の本文中の和歌と他のテキストにおける和歌との違いについて問う設問は、平成30年度の試行調査の設問形式をほぼ踏襲している。問2の長家の応答の理由を問う設問は、理由が直接示されておらず、本文の表現を手がかりに長家の心情を推測するものであった。

第4問 「漢文」 (50点・解答数9)  欧陽脩『欧陽文忠公集』/『韓非子』

昨年のセンター試験に引き続いて長編の詩が出題され、平成29年度・平成30年度の試行調査と同様に、二つの問題文による出題がなされた。設問としては、問3と問6において二つの問題文を関わらせて解くことが要求された。それを除いては、文字・語句の意味や書き下し文、解釈などが問われ、文脈や傍線部における対比の関係に注目させるなど、従来のセンター試験の設問を踏襲するものであった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2020年度 119.33点
  • 2019年度 121.55点
  • 2018年度 104.68点
  • 2017年度 106.96点
  • 2016年度 129.39点

第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【正解】【分析