第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【第6問】【第7問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「倫理、政治・経済」の問題分析は次の通り。

「政治・経済」分野では資料をもとに考察する力を問う問題が出題された。独自問題なし 

すべての設問が単独科目「倫理」および「政治・経済」と共通であった。倫理分野では、基本的な事項を問う問題が中心であったが、リード文と会話文を結び付けて考える問題がみられた。政治・経済分野では資料や模式図を用いた問題がみられた。特に政治・経済分野では考察問題が多く、昨年センター試験よりやや難化。

大問数・解答数

大問数は7で、昨年のセンター試験と比べて1大問増加。解答数は33個で、昨年のセンター試験と比べて4個減少した。「倫理」は4大問で解答数は16個、「政治・経済」は3大問で解答数は17個。また、昨年のセンター試験と同様、「倫理、政治・経済」の独自の設問はなかった。

出題形式

昨年のセンター試験と比べ、問題ページ数は7ページ増加。両分野ともに、文章選択問題が減少し、組合せ問題が大幅に増加した。倫理分野では試行調査でみられた連動型の問題は出題されなかった。政治・経済分野では4つの選択肢から2問の解答を選ぶ問題が出題され、7択の問題が5問出題された。

出題分野

昨年のセンター試験と同様、「倫理」および「政治・経済」の各分野から網羅的に出題された。「倫理」では、昨年のセンター試験の第2問と第3問で出題された源流思想が、第1問で出題された。

問題量

昨年のセンター試験に比べ増加。特に政治・経済分野で大幅に増加した。

難易

昨年センター試験よりやや難化。

大問別分析

第1問「『恥』の観点から捉える源流思想」 (12点・解答数4) 

「倫理」源流思想分野からの出題。基本的な知識を問う問題が中心だった。問4は上座部仏教の思想家の原典資料が用いられ、原典資料とそれを読んだ生徒の会話文を読み取る力が求められた。

第2問「日本における時間の捉え方と人生観・世界観」 (12点・解答数4) 

「倫理」日本思想分野からの出題。問1は『古事記』の内容とヘシオドスの『神統記』の内容を比較する問題。古事記における神の概念についての理解と、『神統記』の原典資料を読み取る力が求められた。問2では写真が用いられたが、阿弥陀仏の来迎と末法思想について理解している生徒は解答を導くことができたであろう。

第3問「良心をめぐる西洋近現代思想の流れ」 (12点・解答数4) 

「倫理」西洋思想分野からの出題。昨年のセンター試験と同様、1ページにわたってリード文が展開された。問4は、良心をテーマに展開したリード文とそれに基づいた先生と生徒の会話文を読んだうえで、文意に沿う文章を選ぶ問題であった。

第4問「歴史の多様性とその捉え方」 (14点・解答数4) 

「倫理」現代思想分野からの出題。歴史をテーマに展開される会話文がリード文として提示された。問1では、問題のなかで説明された、問題焦点型対処というストレスを抱えた場合の対処方法について理解し、日常の生活に落とし込むことができたかどうかが問われた。

第5問「法と人権、政治体制」 (19点・解答数6) 

「政治・経済」政治分野中心の出題。判例を用いた問題が目立った。問3は最高裁の判例や学説を示した3つの資料を読み取り、義務教育の無償化について考えさせる問題であった。問4はふるさと納税制度などの時事的理解が求められた。

第6問「日本の労働、財政・金融や国際経済の現状」 (19点・解答数6) 

「政治・経済」経済分野・国際経済分野からの出題。考察する力を問う問題が目立った。問3はある国の国家財政における歳出と歳入の項目別の金額を示した表を読み取り、計算をしながら解答を導く問題。資料の丁寧な読み取りが必要であった。問4は金融についての知識と資料の読解・考察を求める難易度の高い問題であった。

第7問「日本による発展途上国への開発協力のあり方」 (12点・解答数5) 

「政治・経済」経済分野・国際経済分野からの出題。国際協力を切り口に、探究活動の発表のための資料がリード文で用いられた。問4では、日本が援助を行う理由を説明したノートにある、2つの空欄にあてはまる文章を選ぶ問題。日本の国際貢献の意義を論理的に考えさせようとする工夫が見られた。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2020年度 66.51点
  • 2019年度 64.22点
  • 2018年度 73.08点
  • 2017年度 66.63点
  • 2016年度 60.50点

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