【第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【第6問】【正解】【分析】
データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「日本史B」の問題分析は次の通り。
グラフや新聞、地図など多様な史資料から多面的・多角的に考察する力が求められた
大問数6は昨年のセンター試験から変更なしだが、解答数は4個減少して32個となった。史料、地図、写真などの多様な資料が用いられ、史資料の読解力が重視された。社会経済史の出題は増加し、現代史の割合も増加した。基礎・基本の知識を要する設問もあるが、昨年センター試験よりもやや難化。
大問数・解答数
大問数6は昨年のセンター試験から変更なかったが、解答数は36個から減少して32個となった。第5問、第6問は日本史Aとの共通問題。
出題形式
試行調査と同様の生徒の学習場面が第1問、第2問、第6問で用いられ、ブラジルの新聞や、小判の重量と金の成分比率のグラフ、荘園絵図などの多様な史資料が扱われた。文章選択問題は昨年のセンター試験の11問から6問に減少し、評価と根拠などの組合せ問題が出題された。年代整序問題は、昨年のセンター試験の5問から4問に減少した。
出題分野
昨年のセンター試験より社会経済史が増加し、文化史が減少した。また近現代史が重視される傾向は変わらず、現代史が増加した。
問題量
解答数は昨年のセンター試験よりも減少しているが、資料が増加し、全体の情報量は増加しているため、昨年センター試験並。
難易
昨年センター試験よりやや難化。
大問別分析
第1問「貨幣の歴史」 (18点・解答数6)
古代から現代までの貨幣の歴史について、各時代の貨幣の在り方が問われた。問6では、ブラジルの新聞とその解説文が扱われ、解説文の情報を取り出して既知の知識を組み合わせて活用することが求められた。
第2問「日本における文字使用の歴史」 (16点・解答数5)
「日本における文字使用の歴史」をテーマに、Aでは、倭国における漢字の流入及び使用について、政治・外交分野から出題された。Bでは、律令国家の形成と文字使用の展開について、政治・文化分野から出題された。問1では、中国諸王朝の領域表示から、各地図がそれぞれ1世紀・3世紀・5世紀であることを判別することが求められた。
第3問「中世の都市と地方との関係」 (16点・解答数5)
院政期から戦国期にかけての都市と地方との関係をテーマとしたリード文に対し、荘園に関する史料や絵図を用いて、社会・政治・文化の各分野から出題された。問2は荘園絵図を読み解く方法とその方法によりわかる内容の組合せという、新しい形式の出題であったが、丁寧に文章と図版を照らし合わせて考えれば正答できるものであった。
第4問「近世社会の儀礼や儀式」 (16点・解答数5)
近世社会の儀式や儀礼、休日に関する史料を題材として、江戸時代について、政治史を中心に外交・文化の各分野から出題された。問1では、江戸城本丸御殿の模式図に示された部屋割りのデータの読み取りと大名に関する知識の理解が問われた。Yでは具体的な藩主の事績と藩名、その藩の大名の種別をおさえておくことが求められた。
第5問「景山英子(福田英子)と近代の社会」 (12点・解答数4)
景山英子の事績をテーマとした人物史で、幕末から明治期の政治・社会について出題された。問3では、景山英子の書いた『妾の半生涯』の読み取りと、教育制度の変遷についての理解が求められた。
第6問「農地改革」 (22点・解答数7)
戦後の農地改革の性格や意義に加えて、地租改正以後の寄生地主制の変遷の理解を求めた出題であった。問3・問5では、寄生地主制が単純に発展したのではなく、大正・昭和期の社会の変化により動揺したことを読み取る思考力が問われた。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2020年度 65.45点
- 2019年度 63.54点
- 2018年度 62.19点
- 2017年度 59.29点
- 2016年度 65.55点