古代ローマの水道設備を再現した2年6組の「アクアエ・ローマへ」

福岡・修猷館高校の1年間の集大成「第69回修猷大文化祭」が3月21・22日に開かれた。運営や管理を、生徒の実行委員会が責任を持って行うのが伝統。クラス企画は、メッセージ性のある展示や演劇など、考え抜かれた多彩な発表が特徴。「文化祭は修猷生の考える文化を発表する場」という考えが貫かれた、高校文化祭の王道だ。
(文・写真 吉永恵子)=学年は開催時

今年のテーマは、車輪の跡を意味する「轍(わだち)」。「先輩たちの志を受け継ぎ、未来への軌跡を残す」という決意を込めた。

学校で総選挙!?

当日は、工夫を凝らしたクラス企画がめじろ押しだった。

2年10組の「修議院総選挙」は、来場者に投票をしてもらう企画。3人の候補者の中から当選した政治家の政策が実現するまでを寸劇で実演した。取材した回では、スポーツ振興を掲げる「明須吏人(あすりいと)」候補が選ばれたが、スポーツばかりを振興した結果、パソコンも英語もできない新入社員が上司を困らせる劇で来場者を笑わせた。クラス実行委員の北嶋諒太郎君は「選挙で候補者を選ぶということは、結果にも責任を待つこと。候補者がその後、何をしたかを知ることで、選挙に関心を持ってくれたら」と狙いを語る。

アフリカの発明家 影絵で描く

1年9組は、アフリカ南東部の国マラウイで、電気がほとんど通じない村に独学で発電用風車を立てたウィリアム・カムクワンバさん(当時14歳)の実話を影絵で表現した。クラス実行委員の松藤圭亮君は「スクリーンとの距離で人物の背の高さが変わります。主人公は少年なのでスクリーンに近くし、大人は遠くしました」と工夫を話した。

アフリカの発明家を描いたシャドーパフォーマンス
運営は生徒の手で

文化祭運営委員会の発足は12月。各クラスは企画の目的や、会場見取り図、必要な備品などを詳細な計画書にまとめる。それを検討した運営委員との間で、企画を検討し、磨きをかける「折衝」が12〜1月に3回ある。先生は生徒の決定を尊重するのが基本だ。

生徒は昼休みや放課後の時間をやりくりして準備を続け、本番10日前から短縮授業となる。下校時刻(午後7時半)を徹底し、戸締まりを確認するのも委員の仕事。手分けして、校舎を見回り、生徒に下校を促す「蛍活動」がある。 運営委員長の髙田修平君(2年)は「文化祭は、当日の発表に至るプロセスも大事。自分たちで考えて運営することで、成長できたと思います」と話した。