私はアニメが大好きで、これまでに数多くの作品を観てきました。その中でも印象に残っているのが「クジラの子らは砂上に歌う」です。オススメな理由を紹介します。(高校生記者・Haly=2年)

目の前で起こる惨劇に少年少女が立ち向かう

クジラの子らは砂上に歌う

砂の海を漂流する小島のような漂泊船「泥クジラ」。物語は、外の世界と隔絶されたこの島に暮らす少年・チャクロが、砂の海に漂着した廃墟船の中で、感情をもたない少女・リコスと出会うことから始まります。

リコスの存在によって波が立ち始めた、泥クジラの穏やかな日々は、ある惨劇が引き金となり一変します。そしてチャクロたちは、この楽園に秘められた哀しい真実を知ることになるのです。

原作の漫画は「このマンガがすごい!2015」にもランクインしています。

特殊設定が生きるファンタジー作品

まず私が惹かれたのは、作品の世界観です。

泥クジラの住民は「サイミア」と呼ばれる特殊能力をもつ短命な「印」と、サイミアをもたない長寿の「無印」に分けられます。このような設定が、他の作品にはない雰囲気をつくっています。さらに、アニメは原作の空気感を再現した上で、柔らかなタッチの絵柄や配色によって、ファンタジー作品としての印象が増しています。

声優による演技や主題歌も含め、アニメの特性を生かし、原作の世界観がより広がるような仕上がりになっています。

希望を信じるキャラの姿を見てほしい

この作品の主題となるのは、「人間性」だと私は考えます。

リコスはチャクロと過ごすうち、徐々に感情を取り戻していきます。喜びや幸せを感受し共有できるようになり、悲しみや慈悲といった概念も彼女の中に生まれます。また、権力者の多い「無印」に対して「印」が不信感を抱く場面もあり、ここでの「印」の感情が自分と重なったことを覚えています。

なぜ、あつれきは生まれるのか。感情は本当に必要なのか。このように人間の本質を問う側面にも注目してもらいたいです。

紹介した2人の他にも個性的な登場人物がたくさんいて、それぞれが自分の正義を貫いて行動していく様子も魅力的です。

残酷な運命を前にしながらも、希望を信じて生きる少年少女たちの勇姿を、ぜひあなたの目でご覧ください!(高校生記者・Haly=2年)