勉強法についての悩みに、多くの受験生を合格へと導いてきた各教科の先生が、大学受験突破のためにアドバイス。駿台予備学校の田部圭史郎先生に難関私大の日本史を解くためのポイントについて答えてもらった。(構成・安永美穂)
Q.難関私立大の日本史対策のポイントは?
A.教科書と問題演習を中心とした学習を進めよう。
「なぜ誤りなのか」を自分で説明できるように
難関私立大の日本史では、非常に細かい知識の正誤を問う出題がされるケースも多い。
場合によっては、主要な教科書の「本文」のみならず、「注」の内容まで含めた知識が求められることもある。
正誤問題の演習をする際は、「この選択肢はこの部分が違うから誤りだ」ということを自分で解説するつもりで取り組んでみよう。理解があやふやな部分があれば必ず教科書で確認するなど復習しておこう。
正誤判定問題というのは、たった一文字で正文が誤文になる。一字一句を蔑ろにしない学習を心掛けてほしい。
資料集の写真・絵・グラフも要チェック
難関私立大では資料を読み取る問題もよく出題されるため、日頃から問題演習をする際には資料集にも目を通し、写真や絵、グラフなどを確認しておくとよい。
時代区分に関していえば、特に出題比率が高い江戸時代と明治時代で取りこぼしがないように注意しておきたい。
江戸時代は文化史の内容にボリュームがあるため、文学・絵画・学問といった分野ごとに、それぞれの時期の特色を整理しておくとよいだろう。
高3の夏までに通史を学び終えるのを目標に
過去問研究の時間を十分に確保するには、高3の夏の終わりまでに通史を先取りするペースで学習しておくことが望ましい。
近現代の学習についていえば、「日本史B」の教科書は独学で使用するにはやや難しい部分もあるため、比較的平易な表現で説明されている「日本史A」の教科書を使い、わからないところは先生に質問しながら学習していくのがおすすめだ。
近現代学習は、資本主義とは何か、議会とは何か、内閣制度とは何か、といった時代の枠組みや制度についての理解がないと学習が進まない。教科書はページ数が限られており、こうした歴史学習の前提となることについて必ずしも詳しく説明してくれるとは限らない。その際は、辞書・辞典などで調べ考えてみる、場合によっては高校の先生や予備学校の講師に質問に行く必要がある。
通史を学んで各時代の大まかな枠組みを理解した上で、過去問をはじめとする問題演習を通じて、それぞれの時代の歴史事象への理解をさらに深めていくようにしよう。
田部圭史郎先生(駿台予備学校 日本史科講師)
たなべ・けいしろう 神奈川県出身。専攻は経済思想史。「理解を深める板書」と「記憶に残る話」を心掛け、日々熱い授業を展開中。模試や教材などの作成にも携わっている。趣味はランニングと博物館めぐり。著書に『GMARCHの日本史』(駿台文庫)