各大学の入試や大学入学共通テスト(新テスト)にも対応できる勉強法を、駿台予備学校の田部圭史郎先生に教えてもらった。(構成・安永美穂)
資料を読み取る問題が中心
新テストでは、写真・絵・グラフなどの資料を読み取る問題が中心となる。
初見の資料をもとに、高校では習っていない知識を問われることが増えるため、戸惑う人もいるかもしれない。だが、これは問われ方が変わるだけで、求められる知識に大きな変わりはない。しかし、センター試験以上に、日本史の基本知識・理解をもとに考える力が求められる。普段の学習や模擬試験、そして問題演習を通して基本知識の確認と類推力の養成をはかることが重要となる。
学ぶときは、まず各時代の特徴・枠組みをとらえようとする姿勢が何よりも大切だ。新テストではこうした時代の「特徴・枠組み」をおさえているかどうかが重要となる。
歴史事象の背景や原因、結果まで意識する
各時代の特徴・枠組みをおさえたら、各時代の詳しい内容を見ていこう。
このときのポイントは、単体の出来事を暗記するだけでなく、「原因・背景には何があったのか」「どのような結果・影響をもたらしたのか」まで意識することだ。
新テストでは、歴史事象の論理関係を考察する力が今まで以上に問われる。教科書を読むときも、太字のキーワードをただ暗記するだけではなく、「背景-原因-経過-結果-影響」のつながりを自分で説明できるようにしておこう。
資料集もこまめに活用を
資料問題が増える新テスト対策として、授業の予習・復習時には資料集にも目を通すことを習慣にしよう。
公表されている試行テストや新テスト対策用の予想問題集などにも取り組んでおくとよい。資料問題では、「問題を解くために必要な情報は何か」を見極めることも重要だ。
まずは問題の選択肢に目を通し、「何が問われているのか」を確認してから資料を見るようにすると、どこに注目すればよいのかを判断しやすくなるだろう。
高3の夏までに全範囲を終わらせる
知識を身につけて使えるようにするには、ある程度の時間が必要だ。高3の夏の終わりまでには教科書の全範囲を終え、秋以降は問題演習を通して夏までにやったことを再確認し理解を深め知識の定着化を図る、というのが理想だ。
なお、一問一答の問題集は授業の復習用としては役に立つが、それだけでは知識をもとに考察する力は身につかない。必ず教科書や演習用の問題集と並行して取り組むことを心掛けてほしい。
田部圭史郎先生(駿台予備学校 日本史科講師)
たなべ・けいしろう 神奈川県出身。専攻は経済思想史。「理解を深める板書」と「記憶に残る話」を心掛け、日々熱い授業を展開中。模試や教材などの作成にも携わっている。趣味はランニングと博物館めぐり。著書に『GMARCHの日本史』(駿台文庫)