各大学の入試や大学入学共通テスト(新テスト)にも対応できる生物の勉強法を、駿台予備学校の山下翠先生に教えてもらった。(構成・山口佳子)
多くの演習問題に取り組んで
新テストは、「知識を十分に理解している」とみなしたうえでの「思考力」が問われる問題ばかりになる。
従来のセンター試験に出題されていた「用語を選択する穴埋め問題」は、用語に関する基礎的な周辺知識までを含めた「文章を選択する形式」に代わる。問われていることは同じなので、慌てずに対応しよう。
応用問題も、知識を踏まえた「思考力」が問われるようになる。
複数の論文データや表から仮説検証を行ったり、実験道具や材料が提示されたうえで実験方法を考えたりするといった問題だ。
教科書などで見たこともないデータが提示される場合もあるので、より多くの演習問題に取り組み、いろいろなパターンに慣れておこう。
3年生の夏休み前までに全範囲の知識を習得
新テスト対策として大切なのは、全範囲の知識を早めに習得することだ。
遅くとも3年生の夏休み前までには、生物基礎、専門生物両方の教科書を読み込み(=インプット)、書き込み式のサブノートや一問一答形式の問題集で自分の理解度を確認する(=アウトプット)。
学校によっては生物の授業が3年生の12月頃までかかるところもあるので、生物を選択する人は自分で勉強を進めておく必要がある。
基本にするのは、学校で使用している教科書が良い。各種参考書よりも、過不足なく、必要な内容が網羅されている。知識の習得には、インプットとアウトプットを必ずセットで行うことが必須だ。
アウトプットで間違えた問題は繰り返し確認し、あやふやな点をなくしておこう。
模試で間違えた問題はノートにまとめて
応用問題の対策としては、夏休み以降により数多くの演習問題に取り組んでいくしかない。
そのためにも、模試を有効に活用しよう。大切なのは、模試を受けた翌日には復習するくらいの心構えでできるだけ早く復習し、しっかり解説を読むことだ。
間違えた問題はもちろん、たまたま正解した問題についても、「理解できた!」と確信できるまで解説を読み込もう。解説を読んでもよくわからない場合は、教科書を見直す。それでも理解できなかった場合は、必ず先生に聞きに行こう。疑問点を残さないことが大切だ。
疑問点が解決したら、間違えた問題だけをノートに貼る「間違いノート」を作ろう。自分専用の問題集になる。できるようになるまで、同じ問題に何度でも取り組もう。
新テストが始まったばかりの令和2年度は、すぐには問題集が出そろわない可能性が高い。過去問に挑戦したい場合は、センター試験の問題に取り組んでみるのも悪くない。
山下翠先生(駿台予備学校 生物科講師)
やました・みどり 高1から高3までの授業を多数担当し、熱意にあふれた分かりやすい授業は生徒から多くの支持を得ている。模試の出題や教材の執筆も担当。