勉強法についての悩みに、多くの受験生を合格へと導いてきた各教科の先生が、大学受験突破のためにアドバイス。駿台予備学校の化学科講師の黒澤孝朋先生に計算問題の対策のポイントについて答えてもらった。(構成・安永美穂)

Q.計算問題を解けるようにするコツは?

A.「最終的にどんな式が必要か」を考え、そこから逆算するイメージで解こう。

 

最後の工程を見据えて解法を組み立てる

ある化学現象を計算によって解析する問題では、いくつもの計算の工程があるように思えても、答えを導くために必要なのは、基本的には最後の1工程の式・計算だけだ。その式に至るまでの準備段階として計算の工程が増えることはあるが、まずは「最後にどんな式が必要になるのか」を考えよう。

これは分かりやすい例えにすると、あみだくじでどれが当たりかを知りたいときに、ゴールから逆にたどっていくのと同じイメージだ。最後の工程を見据えた上で解法を組み立てれば、目先のデータにとらわれて必要のない数値を使った計算をしてしまうといったミスを防ぐことができる。

やみくもに計算を始めるのはNG

化学の場合、「計算が遅い」というのは、計算処理そのものが遅いのではなく、「解法が思いつくまでに時間がかかる」というケースがほとんどだ。解法の発想力を鍛えるには、まずは基本の解法を完璧に確立しよう。その後で応用問題に取り組む段階では、問題文にある数字を使っていきなり計算を始めるのではなく、問題の全体像をつかんでから解答を始めることを心掛けよう。

「最終的に何を求めたいのか」を考えてから、「そのために必要なデータとして、この部分の数値を求める必要がある」という順で考えていくと、解法の道筋が見えてくるはずだ。

日頃から効率のよい解き方を意識しよう

入試では効率のよい解法を選ぶことも大切だ。日頃の問題演習では、「答えが合っていればいい」と考えるのではなく、自分の解き方について「もっと簡単に解ける方法があったのではないか」という視点で振り返る習慣をつけてほしい。解き方が複雑になりすぎると感じた問題があれば、学校や予備校の先生にもっと効率的な解き方がないかを質問してみるとよいだろう。

くろさわ・たかとも

 

現役生から高卒生までの上位クラスを中心に指導。本質を大切にした分かりやすく丁寧な授業が広く支持されている。