各大学の入試や大学入学共通テスト(新テスト)にも対応できる勉強法を、駿台予備学校の黒澤孝朋先生に教えてもらった。
予習で教科書を読もう
新テストでは、従来のセンター試験と同じ傾向の問題に加えて、高校では習っていない内容が書かれた文章から知識を読み取って考察する力を問う出題がなされる可能性もある。対応するには正確な読解力が欠かせない。日頃から授業前の予習として、その単元の内容を知らない状態で教科書を読み、文章から知識を得る練習をしておくとよいだろう。その上で授業を受け、重要なポイントが正しく読みとれていたかを確認しよう。
実験は目的を意識して
実験に関する問題の対策としては、授業で実験をするときに、まず「何を知る(確かめる)ためにこの実験をするのか」という目的を明らかにしておこう。実験後には、得られたデータのどの部分から、その目的が達成されたと言えるのかを振り返ることが重要だ。自分の考察をまとめてから、資料集で実験に関する記述や図を確認しておくと、さらに理解が深まるだろう。
身近な物質や化学現象について考察する視点が重視されるのも、新テストの特色の一つだといえる。例えば、スプレー缶に「火気と高温に注意」と書かれていることが多いが、これはどうしてなのか。身近なものの成分表示を見て疑問に感じたことについて考えてみると、さまざまな物質についての理解を深めるきっかけになる。
受験勉強は普段の勉強の延長線上にあるものなので、高1・高2で学んだことが、そのまま受験勉強につながっていく。受験勉強をスムーズに進めるには、高1・高2の時点で、本質を理解せずにただ暗記するといった浅い勉強をしないことが大切だ。
まずは基礎の理解から
基礎は「簡単なこと」ではなく「大事なこと」なので、「こういう理由で、こういう結論が得られる」ということを一つひとつ確実に理解することを心掛けよう。すると、身近なものの性質や現象を説明できるようになって化学の勉強が楽しくなり、楽しいから知識が定着しやすくなるといった好循環を生み出せるはずだ。
高1・高2のうちは基礎をしっかり理解して化学を好きになり、高3で志望大のレベルに近づくための問題演習に本格的に取り組む。そうした学習の進め方が理想的だろう。 (構成・安永美穂)
黒澤孝朋先生(駿台予備学校 化学科講師)
くろさわ・たかとも 現役生から高卒生までの上位クラスを中心に指導。本質を大切にした分かりやすく丁寧な授業が広く支持されている。