勉強法についての悩みに、多くの受験生を合格へと導いてきた各教科の先生が、大学受験突破のためにアドバイス。駿台予備学校の地理科講師の宇野仙先生に 各大学の入試や大学入学共通テスト(新テスト)にも対応できる勉強法を教えてもらった。(構成・安永美穂)

変化や違いに着目する

新テストでは、複数の資料(図・表、統計地図、解説文など)を比較・分析する力が、これまで以上に問われるようになる。日頃から地図帳や資料集、統計集を活用し、「全体としてどのような傾向があるか」「共通点・相違点は何か」「なぜそのような相違点が生じるのか」を考える習慣を身に付けておこう。

表やグラフでは「数値にどのような変化や差異が見られるのか」に着目し、「なぜ、そのような変化や差異が生じているのか」といった背景を読み取ることが重要だ。「この統計ではこの国が上位にくる」といったデータの結果だけを丸暗記するのではなく、「なぜこの国が上位なのか」「順位に変動が見られるのはなぜか」などを考えてみると理解が深まるはずだ。

地形図(または国土地理院の地図)は、立体図や鳥ちょう瞰かん図、衛星写真、ハザードマップなどと比較してみよう。その上で地形そのものの特徴に加えて、「そのような地形になっていることで、その地域にどのような特色があるのか」を読み取る訓練をしておいてほしい。

 

問題文を正確に読み取る

新テストでは設問のリード文や会話文を正確に読み取る力も重要になる。「この問題全体では何を問おうとしているのか」という視点から読み取り、その意図をくみ取った上で解答することを心掛けよう。知識としては正しいことでも、前後の文脈から考えるとその問題では正解にならないケースもある。資料を見た時の印象だけで解答するのではなく、問題文をよく読み、論理的に考えることを問題演習の時点から意識しておこう。

なお、問題演習でセンター試験の過去問に取り組む時は、選択肢のどれが正解かを確認するだけでは不十分だ。誤りの選択肢も「どの部分が誤りなのか」を教科書などで確認し、自分で説明できるようにしておくとよい。

まずは教科書で概要を

日々の学習は、まずは「その地域全体の特色として何がいえるのか」という概要や全体像を把握してから、国ごとの違いなどの細部にも目を向けていこう。教科書の各章の冒頭部分には、概要がまとめられていることが多い。そこを読んでから授業の復習や問題演習
に取り組むと、ポイントを整理しやすくなるはずだ。

うの・たける

 

会社員を経て、教員免許取得後、現職。「地理で得た知識を旅先で思い出すこともあるでしょう。一生付き合える科目です」