受験勉強の王道7 物理 溝口真己先生(駿台予備学校 物理科講師)

各大学の入試や大学入学共通テスト(新テスト)にも対応できる勉強法を、駿台予備学校の溝口真己先生に教えてもらった。

公式丸暗記は通用しない

新テストでは、さまざまな現象を物理の法則を通して考察する力が問われるようになる。実験レポートをまとめる過程を思い浮かべてほしい。「ある現象に関する実験を行い、物理の法則や原理を踏まえた上で、結果から分かることを考察する」過程そのものが出題されるようなイメージに近い。公式の暗記だけでは通用しないため、物理の法則の「本質」を理解することが重要だと言えるだろう。

目的・手段・考察も書く

対策としては、まずはさまざまな現象を目で見て理解することを心掛けてほしい。授業の実験には主体的に取り組み、レポートには数値の記録のほかに、「目的(この実験で何を明らかにしたいのか)」「手段(知りたいことを確かめるにはどのような実験をすればよいのか)」「考察(得られた結果から何が言えるのか、知っている法則や原理とどのように結び付くのか)」も必ず書こう。実験結果が出たときに、班のメンバーとその結果をどう見るかを話し合うと、考察が深まるはずだ。

 

実験ができない場合は、教科書の写真やインターネットの動画を見て、「どのような現象が起こるのか」を視覚的に理解しておこう。

小問が多い問題から演習

国公立大の2次試験や私大入試の問題は、大問の中に(1)(2)といった小問があり、小問を順に解けば最後に結論を導き出せる構成が多い。難易度の高い大学ほど小問の数が少なくなり、どのような手順で式や法則を組み合わせて結論を導くかを、自分で構成する力が問われることとなる。

いきなり小問が少ないタイプの問題を解こうとしても難しい。高2までは教科書の例題など小問が多く設けられている問題で、段階を踏みながら解き方のプロセスを身に付けていこう。答案の書き方で迷ったときは、教科書の説明の仕方をまねしてみると良い。

受験勉強では、最初に「力学」の分野をマスターすると、他の分野も理解しやすくなる。高3になって数学の微分・積分の知識が増えると、物理の原理を数学的に説明できるようになるので、過去に解いた問題集にもう一度取り組みながら理解を深めていこう。志望大が同じ友人と黒板を使って過去問を解き、解き方について質問し合うのもお薦めの勉強法だ。

みぞぐち・まさき

 

博士(理学)、専門分野は原子核理論。本格的なのに分かりやすい授業に定評があり、教材執筆なども担当。