勉強法についての悩みに、多くの受験生を合格へと導いてきた各教科の先生が、大学受験突破のためにアドバイス。駿台予備学校世界史科講師の鵜飼恵太先生に東京大学の世界史を解くためのポイントについて答えてもらった。(構成・安永美穂)

Q.東大入試の世界史対策のポイントは?

A.数をこなすよりも1題ずつじっくり考えることが重要。

聞かれていることを正確に読み取ろう

東大の世界史は、問題文そのものが複雑であることも多い。まずは「何が聞かれているか」を正確に読み取ることが重要だ。

用語に関しては細かい知識が問われるわけではない。センター試験レベルの用語の知識を「同時代」という枠組みや、幅広いテーマの中でどう位置付けて論じることができるかが問われる。過去問は数をこなすことよりも1題ずつじっくり考えることを重視しよう。完璧な解答になるまで何度も書き直しながら、考えを深めるようにしてほしい。

短文論述では書くべきことの見極めを

論述対策としては、まずは第2問の短文論述から対策を進めていくと良い。短文論述では、知っていることを全部書こうとすると文字数があふれてしまうため、必要なエッセンスだけを抽出することが重要だ。「何を書くのか」と「何は書かなくてもよいのか」を問題から判断して書くことを心掛けてほしい。

長文論述は大きなテーマを考えて

短文論述に取り組み、書くことに慣れてきたら、第1問の長文論述の対策にも着手しよう。東大の長文論述では、知っている用語の解説を書くことが求められているわけではない。重要なのは、「全体を貫く大きなテーマは何か」を考えること。設問を読んだら、まずは全体の構造を図にして、その中にある小テーマに小見出しをつけるつもりで、「何をどの順でどう論じるか」のプロットを組んでから書き始めるようにしよう。

特に、2つ以上のものを対比して論じる場合、単純な1対1の対比ではなく、そこからさらに二重、三重の対比構造が隠れている場合もある。何と何を比較しながら論じればよいかのポイントを明確にするためにも、まずは図で整理してから書き始めることを習慣にしてほしい。

 

うかい・けいた 歴史上の人物になりきる講義が「つながりが分かる」と好評。著書に『大学入試 ストーリーでわかる世界史B』(KADOKAWA)。