キーワード集を活用

評論文では難解な言葉が多く出てくるため、「語彙(ごい)力を高める」「文章の構造を理解する」の2点を意識して学習を進めよう。

語彙力を高めるには、入試でよく出題される用語の意味を解説している「キーワード集」を活用するのが効果的だ。分からない言葉が出てきたら、キーワード集で意味を確認し、関連用語にも目を通しておけば、辞書を引くよりも効率よく語彙を増やしていくことができる。

接続表現に着目しよう

一つ一つの言葉の意味が理解できたら、次は文章の構造に目を向けよう。ポイントは、狭い範囲の文章だけに着目するのではなく、前後のつながりを意識しながら「話題がどう移っていくか」を読み取ること。「この段落では、次の段落の主張を導き出すために必要な具体例を挙げている」というように、形式段落ごとのつながりを考えていくと、文章全体の構造を理解しやすくなるはずだ。

思い込みで間違った読み方をしてしまうのを防ぐには、接続表現に着目するとよい。接続詞は前後の文章の関係を知る手掛かりになるし、「これは」「このような」といった指示語があれば、前に出てきた事柄とつながりがある内容が述べられていると分かる。「~も」といった助詞があれば並列の関係にある話題が出ているし、文末表現が「~からである。」となっていれば理由が述べられている。

読んでいて「内容がよく分からない」と感じたときは、こうした表現に着目しながら、分からないところの前後の部分を読み直してみよう。

速さより正確さが大切

文章を読むスピードは、最初はゆっくりで構わないので、筆者がどういう考え方をして、どんな主張にたどり着いたのかを正しく読み取ることが重要だ。速く読むことだけを意識すると、思い込みで間違った読み方をしがちなので注意してほしい。

あれもこれもと欲張らず、一つの文章をじっくり丁寧に読む練習を重ねていけば、読むスピードも自然と速くなっていく。「筆者は何を主張しているのか」という骨格の部分を押さえながら、まずは教科書の文章を正確に読み取ることを心掛けよう。
(構成・安永美穂)

 
 
岩科琢也先生(駿台予備学校 現代文科講師)
 いわしな・たくや オーソドックスにして力強く、思考力全開の授業を展開。東京大、一橋大、筑波大、早稲田大などの入試問題の分析や特別授業も担当。