増田悟先生(駿台予備学校 英語科講師)
ますだ・さとる 東京都出身。東大大学院ではロシア文学を専攻。分かりやすく熱意あふれる正統派の授業が身上。
 

作業しながら集中して聞く

英語の音に慣れるために、まずは学校の教科書の音声教材やラジオ講座、インターネットの英語学習コンテンツなどを活用して、英語を「たくさん聞く」ことを心掛けよう。

ただし、ただ聞き流せばよいわけではなく、「今、何を言っているのか」を意識しながら「集中して聞き取る」練習をすることも重要だ。机に向かってリスニング教材を聞いて問題に答える練習をしたり、聞き取った英語を書き取る「ディクテーション」や、聞こえた英語をそのまま声に出して言ってみる「シャドーイング」をしたりするとよいだろう。ただ聞いて終わりにするのではなく、並行して何らかの作業に取り組むことで、「集中して聞く」ことができるようになる。すでに聞いたことがある英文を何度も繰り返し聞くのも効果的だ。

音の変化を理解しよう

英語が読まれるときの「音の変化」のルールも理解しておきたい。例えば、「sit down」は「スィットダウン」とは読まれずに、“t”の音が脱落して「スィッダウン」という発音になる。こういった音の変化を理解しておくと、英語を聞き取りやすくなるとともに、スピーキング能力の向上にもつながる。

なお、リスニングの試験中は、できれば聞くことだけに集中し、メモを取るなら聞くことの妨げにならない程度にするのがよいだろう。前もって設問に目を通し、何が問われているのかを確認しておくと、聞き取る際のポイントを予測できることもある。

読む力を伸ばすのも大切

読んで分からない文章は音声で聞いても分からないので、読解力をつけることもリスニング対策として有効だ。リスニングでは英語を聞いた順に理解していかなければならないので、読解問題を解くときも英文を前から順に目で追い、おおよその意味を素早く理解しながら読み進めることを意識してみよう。読解問題対策として細部まで正確に訳す練習も必要だが、ざっと目を通して大意を把握できる能力も養えば、リスニングでもポイントを聞き取りやすくなるはずだ。

リスニング対策は「これさえやれば力がつく」という魔法のような方法があるわけではない。「『聞く』練習と並行して『読む』練習もする」「『たくさん聞く』だけではなく『集中して聞く』ことも心掛ける」といったバランスを意識しながら、地道な対策を続けていこう。