増田悟先生(駿台予備学校 英語科講師)
 
ますだ・さとる 東京都出身。東大大学院ではロシア文学を専攻。分かりやすく熱意あふれる正統派の授業が身上。

文と文のつながりを考えて

長文読解の対策としては「目の前にある一文ずつを正確に読み取ること」と「文と文のつながりを考えて文章全体の流れを理解すること」の両方に、バランスよく取り組むことが大切だ。

まず基本となるのは、一つ一つの文の正確な意味を日本語で考えること。「速く読もう!」と焦りすぎて単語のイメージだけをつなぎ合わせてフィーリングで読もうとすると、ミスにつながりやすいので注意が必要だ。複雑な文が出てきたときは、その文がどのような構造になっているのかを分析し、1カ所ずつ日本語に訳しながら正確な意味を読み取っていこう。

そのためには「基本的な単語力」と「構文の理解」が必要になる。これらの習得に近道はないので、単語であれば一度見ただけで覚えたつもりにならずに何度も繰り返して勉強し、構文も出てくるたびに構造と意味を確認するといったように、地道な積み重ねを大切にしてほしい。

 

先の展開を予測して読む

1つの文の意味を読み取れるようになったら、次は「文と文」「段落と段落」のつながりを意識して、文章全体の流れを理解していこう。「but」「for example」「first,second,…」といった接続語に着目すると、「butは逆接だから前で述べたこととは反対の内容が出てくる!」というように、先の展開をある程度は見通せるようになる。

これらの接続語がない場合も、「なぜ?」「例えば?」「1つ目は?2つ目は?」といった問いを投げ掛けながら読み進め、先の展開を予測しながら読む練習をしておくと、それぞれの文や段落が全体の中でどのような役割を果たしているのかが読み取れるようになる
はずだ。

高校の英語では、一文ずつを和訳して終わりにするのではなく、文と文のつながりを考えながら意味を読み取ることが重要になってくる。単語や構文といった基礎の学習とともに、「この文章は何を伝えようとしているのか」を考えながら、まとまった量の英文を読む練習を積み重ねていこう。

日本語の読書も役立つ

文章全体の意味を読み取る力を高めるには、読書の習慣も欠かせない。難関大学の入試では、最先端の学問や研究にまつわる英文の出題も多い。日頃からさまざまな本や新聞などを読み、文章の大意を読み取ることに慣れるとともに、幅広い教養を身に付けておくことを心掛けてほしい。(構成・安永美穂)