湘南台高校吹奏楽部のパレード

高校文化部の代表が全国から集う第40回全国高校総合文化祭広島大会(ひろしま総文)の総合開会式が7月30日、広島県立総合体育館で行われた。県内の高校生が伝統芸能や被爆ピアノの演奏など平和を考えるステージなどを披露した。式終了後、広島市中心部にある平和記念公園の周辺で高校生約 2000人がパレードを行った。(野村麻里子)

平和祈り、被爆ピアノ奏でる

総合開会式は、約560人の高校生が演奏やダンス、ミュージカルなどで約2700人の来場者を魅了した。特に広島らしさを表現したのが平和をテーマにしたステージで、県内の高校生が「(原爆投下の悲劇を)広島に暮らす私たちがきちんと伝えたい」との思いで発表した。

被爆70年を迎えた昨年8月6 日、写真部の生徒が平和を祈る人々の姿を撮影した写真のスライドが公開された。山本彩菜さん(賀茂高校3年)による爆心地から2キロで被爆したピアノの演奏にのせて、浅野未優さん(広島文教女子大学附属高校3年)と中村みちるさん(尾道北高校3年)が被爆者の詩を朗読した。

被爆ピアノを演奏(総合開会式)

和楽器と軽音楽のコラボ

海外4カ国の招聘校が伝統芸能を披露したほか、県内の高校生が広島県の伝統文化を紹介した。福山市は箏の生産量日本一であることから、7校が合同で箏、尺八、軽音楽がコラボレーションし、アニメ・新世紀エヴァンゲリオンの曲「残酷な天使のテーゼ」で会場を盛り上げた。

軽音楽と筝のコラボレーション(総合開会式)

伝統工芸品の熊野筆が伝統工芸品であることにちなみ、黒瀬高校の和太鼓演奏に乗せて五日市高校が書道でパフォーマンス。大会テーマにちなんで3色で3本の矢を描き、「繋」の文字にメッセージを添えた。

「青春の舞台、見届けて」

生徒実行委員会は2年以上前から準備をしてきた。 委員長の平田みやびさん(広島商業高校3年)は「たった一度の大舞台。全国の多くの方に、高校生の可能性や広島の魅力を伝える大きな役割を担っている。どこまで羽ばたいていけるのかを、私たちの青春の舞台を見届けてほしい。この大会が終わってもふとした時に思い出すような、最高の夏を皆さまにプレゼントする」とあいさつした。

式終了後、副委員長の阪本匠君(広島観音高校3年)は、「準備する中で一番時間をかけて演出などを考えてきた、フィナーレで拍手が鳴りやまなかったのがうれしかった」と手応えを語った。

副委員長の阪本匠君とひろしま総文マスコット「もみおん」

平和公園周辺をパレード

開会式終了後、高校生約2000人が広島市の中心にある平和記念公園周辺でパレードを行った。平和大通りから原爆ドーム付近まで約700メートルのコースを65校約2000人がマーチングやバトントワリングなどをしながら練り歩いた。真夏の太陽のもとパフォーマンスをする姿に、観客からは拍手やエールが送られていた。

相模女子大学高等部(神奈川)バトントワーリング部は、鮮やかな赤と白のドレスをまとい満面の笑みで演技した。部長の並木莉子さん(3年)は「(衣装は)演奏した曲の、ジャズの雰囲気を出している」と教えてくれた。

相模女子大学高等部バトントワーリング部のパレード

一糸乱れぬパフォーマンスで魅了した湘南台高校(神奈川)吹奏楽部は、グッドパレード賞を受賞した。一部のメンバーが着ている黄色の衣装はクモをイメージしている。部長の福田栞さん(3年)は「こうした(全国の)機会に演技ができてうれしい」と話した。同部はグッドパレード賞と、マーチングバンド・バトントワリング部門(8月1日、廿日市市)の実行委員会特別賞を受賞した。

湘南台高校吹奏楽部のパレード