ミニハードルを使った下半身トレーニング

今年春の全日本高校選抜に続き、全国高校総体(インターハイ)でも女子団体を制した和歌山信愛ソフトテニス部。心技体をトータルで強化してつかんだ栄冠だった。特に猛暑の中、6年ぶりに優勝したインターハイでは、フィジカルの強さが生きた。(文・写真 白井邦彦)

下半身強化で粘り生まれる

練習はいたって普通だ。ラリーに続き、前衛と後衛に分かれて練習する。ただ、最後の40分間、腹筋や背筋の運動、重量のあるメディシンボールなどを使ったフィジカルトレーニングを行うのは高校女子ソフトテニス界では珍しい。

林三千夫監督によると、毎日のフィジカルトレーニングの狙いは、1日何試合も行われるインターハイを勝ち抜ける体力と、高い技術力を支える土台をつくるため。オフシーズンには、バーベルを担いだスクワットなどで下半身を徹底的に鍛える。

インターハイの団体と個人で優勝した笠井佑樹(3年)は「下半身の強化でフットワークが良くなった。毎日フィジカルをやることで、粘り強いラリーもできるようになった」と言う。

選手たちが互いの長所を書き合ってモチベーションを維持するなど、メンタルトレーナーによる指導も受ける。インターハイ個人2位の黒田麻衣(3年)は「勝てない時期が続いて、インターハイへの不安があった6月、メンタルトレーナーに『攻め続ければ守らずに済む。攻めのテニスをしよう』と言われ、調子が戻ってきた」と言う。

最後の決め手は「結束」

さまざまな面から実力強化に努めたが、インターハイ優勝の最大の理由は「最後にチームが一つになれたから」と林監督は言う。団体決勝をスタンドで見守った主将の山本沙奈(3年)は「普段は感情を表にしない選手のガッツポーズを見て、鬼気迫るものを感じた。何とか勝たせてあげたいと思った」と振り返った。

インターハイで団体と個人の2冠を制した笠井佑樹

 

攻めの姿勢崩さない(林三千夫監督)

技術を支えるのはフィジカルやメンタルです。専門家の指導の下、心技体トータルで強化してきました。どの試合も攻めの姿勢を崩さないように心掛けています。インターハイ団体決勝でも強気で挑めました。レギュラー以外の選手たちに「コートの選手を勝たせてやろう」という雰囲気が生まれたのは、レギュラー選手の攻めの姿勢が影響したのだと思います。

【TEAM DATA】
1949年創部。部員35人(3年生13人、2年生10人、1年生12人)。インターハイ団体優勝4回、個人では、2006年に中村朱里・新谷佳子ペア、15年に笠井佑樹・鈴木梨沙ペアが優勝。全日本高校選抜は団体優勝3回。卒業生に中村朱里(ヨネックス)、15ナショナルチーム日本代表の平久保安純(早稲田大学)がいる。