2025年度大学入学共通テストの主な科目の難易度や出題の注目点について、河合塾と、駿台・ベネッセによる「データネット」の分析速報のポイントをまとめた。
「歴史総合、世界史探究」SDGs、ジェンダーなど探究活動を意識したテーマ
データネットは、「SDGsやジェンダーなどの探究活動を意識したテーマがみられ、設問単位でも具体的な探究活動の場面において、判断を求める問題が増加した」と分析する。「多様な資料の読解と知識を組み合わせて考察させる問題が出題されたが、求められている知識は基本的なものが多く、昨年の世界史Bよりやや易化」したとみている。
河合塾は、「歴史総合」について、「試作問題でみられた日本史のみの小問はなく、世界史の割合が高かったため、解きやすかっただろう」と分析している。「世界史探究」については、「すべての大問で、資料(史料文・図版・グラフ・表・地図)を読み取る必要があったが、資料の読み取りのみで解答できる問題はなく、資料や会話文などから必要な情報を正確に読み取り、習得した知識と組み合わせながら総合的に判断する問題が多かった」と指摘している。
「歴史総合、日本史探究」日本史の知識だけでは対応できず、やや難化か
データネットは、「蒙古襲来絵詞などの馴染み深いものから、ミルクキャラメルの広告まで多彩な資料が扱われ、受験生に身近な視点から出題された」と指摘する。「資料読解を通じ歴史事象のつながりを考えるものが散見されるなか、踏み込んだ知識や時期判断を要するものも一定量みられ、難易は昨年の日本史Bよりやや難化」したとみている。
河合塾は、「大問の構成では、すべての大問が高校生の学習・探究活動を題材とし、会話文が多用されるなど、旧日本史Bに引き続き、高校生の「主体的な学び」を踏まえた場面設定がなされている」と指摘する。「歴史総合」では「日本史の知識だけでは対応できない問題が複数出題されており、試作問題に比べて難易度が高かった」とみる。
「地理総合、地理探究」複数資料、初見の資料を用いた出題
データネットは、「複数の資料や初見の資料が用いられた設問が多く、設問の主題をとらえる力や、具体や理論をあてはめて論理的に考察する力が求められた。基礎的な知識に加え、自然現象のメカニズムや産業・貿易の背景を踏まえた考察を要求する設問もみられた」と指摘し、昨年の地理Bより「やや難化」したとみる。
河合塾は、「すべての小問に統計表、統計地図、グラフなどの資料が用いられていることなど出題内容と形式は(昨年までの)地理Bを踏襲している」と指摘。「いずれの設問も基礎的な知識をもとに判断できるように作成されており、受験生は取り組みやすかったと思われる」とみている。
「公共」現代の社会問題を積極的に取り入れた出題
データネットは、「『公共』という科目らしく、現代の社会問題を積極的に取り入れている。設問の多くは基本知識が問われており、おおむね教科書の学習で対応できる。思考力を問う問題は図表の読み取りが中心で、資料文などと具体例を結びつける設問もみられた」と分析している。
河合塾は、「人権や司法などの分野、企業や為替などの分野から政治・経済に関する基本的な知識」が幅広く問われ、「多様な文章資料や統計を読解する力を問う出題」がみられたと分析している。難易度は「標準」とみている。