データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2025年度大学入学共通テストの「地理総合」の問題分析は次の通り。
― 生徒の仮説をもとにした探究場面に沿った大問が出題された。難易は標準 ―
第1問と第2問は「地理総合、地理探究」と共通問題であった。多彩な資料をもとに、地理的な考察力が求められた。第2問は生徒の仮説をもとにした探究活動の場面設定で出題された。初見資料の理解に時間を要する問題もみられたが、全体としては基本的な知識と、資料を丁寧に読み取ることで判断できる問題が中心で、難易は標準。
大問数・解答数
大問数4、解答数16個、第1問・第2問は「地理総合、地理探究」との共通問題であった。
出題形式
地図・図表など多彩な資料を用いた問題が中心であった。出題形式は組合せ形式が中心で、文章選択形式や文中の下線の正誤を判断する形式もみられた。
出題分野
「地球的課題と国際協力」「生活圏の調査と地域の展望」「自然環境と防災」「生活文化の多様性と国際理解」の分野で大問が構成された。「地図や地理情報システムと現代世界」については、独立した大問はなかったが、全問を通して資料読解の技能が求められた。
問題量
18ページ。
難易
難易は標準。
大問分野・配点
第1問「食料の生産や消費」 (13点・やや易)
「地理総合、地理探究」第1問と共通問題。世界の各地域の食料の生産や消費について、自然環境などと関連させて出題された。基礎的な知識をもとに資料を読み解く問題が中心であった。問1は図に示された食や健康に関する指標を考える問題。指標が高位となっている日本や中東、北アフリカの共通点を考えることがポイント。先進国と発展途上国それぞれの食料をめぐる現状や課題を理解できていれば解答できる。問4は食料問題について、各地域の農業や食品流通のあり方についての知識が求められる問題。
第2問「愛知県東三河地域の地域調査」 (12点・標準)
「地理総合、地理探究」第2問と共通問題。高校生が豊橋市の中心部の市街地拡大について立てた仮説をもとに展開された。問2は製造業の立地特性に関する問題。工業立地の基本的な考え方を踏まえ、資料を丁寧に読めば解答できる。問4は人の移動と地域性に関する問題で、各地点の地形的な特徴を踏まえた、総合的な考察力が求められた。表1だけではなく大問中の他の設問の資料も活用して、隣県との結びつきの強さを把握できるかがポイント。
第3問「日本の自然環境と防災」 (13点・標準)
日本とその周辺の自然環境と防災について、様々な資料の読図と、基本的な地理的思考力が問われた。問2は月別降水量ではなく月別降水日数という見慣れない資料に迷った受験生もいたかもしれないが、北海道、本州の太平洋側、南西諸島の気候の特性を理解していれば正答を選ぶことができる。問3は地すべり地の災害対策について問う問題。地すべり地の特徴について知識をもつ受験生は多くはないだろうが、資料と記述を丁寧につきあわせることで解答可能であった。
第4問「世界の生活文化」 (12点・難)
世界の生活文化について、住居や国際交流、音楽、情報通信技術といった様々な視点で出題された。見慣れない指標が多く扱われ、また深い知識を求めるものも多かった。問2ではブラジルとベトナムにおける日本との交流に関する知識が問われ、判断に迷ったであろう。問4では携帯電話契約数が扱われ、各国の経済水準や経済成長などの地域性を加味して解答する必要があった。