データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2025年度大学入学共通テストの「数学Ⅰ」の問題分析は次の通り。

― 第4問で外れ値と仮説検定の内容が扱われた。難易は昨年並 ―

第3問〔2〕では、噴水の水が描く曲線を放物線として考察する問題が出題され、第4問では、新課程で扱われるようになった、外れ値に関する問題や、仮説検定の考え方に関する問題が出題された。難易は昨年並。

大問数・解答数

昨年と同様、大問数は4ですべて必答。第1問・第2問・第3問は、2中問構成であった。

出題形式

選択肢から選ぶ問題の解答数は、昨年が23個であったのに対し、今年は20個であった。第3問〔2〕は、日常の事象を題材とした問題が出題された。また、第3問〔2〕と第4問で、前設問が正解の場合のみ点が与えられる問題が出題された。

出題分野

数学Iの全分野から出題された。

問題量

ページ数は28ページ(下書き用紙除く)で、昨年より5ページ増加した。

難易

昨年並。

大問別分析

第1問「数と式」、「集合と命題」 (20点・標準)  〔1〕は数学I、Aと共通 

〔1〕は、文字定数a、bを含むxの2次方程式の問題。aまたはbの値を与えて2次方程式の解を求めている。最後にaの値と方程式の解についての必要条件、十分条件を問うている。〔2〕は、集合の問題。(1)は、与えられた集合を正しく表したベン図を選択する問題。(2)は、集合に要素が与えられ、集合の要素を求めたり、ある条件を満たす部分集合の要素を求める問題であった。

第2問「図形と計量」 (30点・やや難)  〔2〕は数学I、Aと共通 

〔1〕は、辺ADとBCが平行である台形を題材とし、正接に関する問題。最後は直角に気づくかどうかがポイント。〔2〕は、三角比の定義・正弦定理を用いて外接円の半径や線分の長さを求める問題。図形的な考察をすることで、計算量を少なくすることができる。

第3問「2次関数」 (30点・やや難)  〔2〕は数学I、Aと共通 

〔1〕(1)は、2次方程式の解の正負を考える問題。(2)は、平行移動したグラフを求め、2次方程式が正と負の解をもつ条件を求める問題。(3)は、(2)と同様にして2次方程式が異なる二つの正の解をもつ条件を求める問題であった。〔2〕は、噴水の形状を題材にした問題。(1)は、2次関数を決定する問題。(2)は、(1)を利用して、放物線とx軸の交点の位置を考察する問題。

第4問「データの分析」 (20点・標準)  数学I、Aと一部共通

国土交通省のWebページをもとに作成された47都道府県における外国人宿泊者数と日本人宿泊者数の動向に関する問題。(1)は、散布図や表からデータを読み取り、正誤の判断や、四分位範囲、相関係数、外れ値の問題であった。(2)は、二つの変量の和に関する問題で、和の分散と、分散の和の大小について考察する。また、(ⅱ)では、前年比に関する箱ひげ図をもとに正誤を判断する問題。(3)は、仮説検定の問題であった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2023年度 37.84点
  • 2022年度 21.89点
  • 2021年度 39.11点
  • 2020年度 35.93点
  • 2019年度 36.71点