データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2025年度大学入学共通テストの「物理」の問題分析は次の通り。
―単振り子の周期を精度よく測定する探究活動の問題が出された。難易は昨年並。―
単振り子の周期を精度よく測定する探究活動に関する問題や、薄い媒質を伝わる振幅が異なる二つの正弦波の重ね合わせに関する問題など、思考力を要する問題が出題された。原子分野からは、電子線によるブラッグの条件を用いる問題が出題された。難易は昨年並。
大問数・解答数
大問数4は、昨年から変更なし。昨年22個であった解答数は24個に増加した。
出題形式
文字式選択問題を中心に出題された。
出題分野
昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。。
問題量
昨年と比べて増加。昨年23ページであったページ数は28ページになった。
難易
昨年並。
大問別分析
第1問「小問集合」 (25点・標準)
原子を含む各分野から出題された。問2は、地表における重力加速度の大きさから地球の質量を数値で求める基本的な問題であった。問3は、平行でない二つの力の合成をもとに平行逆向きの二つの力の合成を考える問題で、力のモーメントにもとづいた力の合成についての理解度で大きく差がついたであろう。問4は、電場と磁場による電子の速度の変化を求める思考力を要する問題であった。問5は、電子線によるブラッグの条件を用いる基本的な問題であった。
第2問「力学」 (25点・標準)
単振り子の周期をレーザー光とオシロスコープを用いて測定する探究活動に関する問題であった。問3は、振り子の周期についての実験誤差に関する問題で、与えられた式に注目すると正答が絞り込めた。問4は、オシロスコープの波形から振り子の周期を読み取る問題で、最下点を再び同じ向きに通過するまでの時間が周期であることの理解が必要であった。問5は、地球の北(南)極と赤道上の重力加速度の大きさについての問題で、遠心力の有無に注目して式を立てるとよい。
第3問「熱力学、波動」 (25点・標準)
Aは、理想気体の状態変化と熱力学第1法則に関する問題であった。問3は、始点と終点が同じ二つの異なる過程において、気体が外部にした仕事と内部エネルギーの変化、加えられた熱量について考察する問題であった。Bは、二つの振幅の異なる正弦波の重ね合わせに関する問題であった。問5は、与えられた合成波による振動のようすから、一方の波による振動のようすを考察する点が目新しい。問6は、波が強め合う条件を満たす組合せは多数あるため、選択肢を確認してから考察すると、正答が絞り込めたであろう。
第4問「電磁気」 (25点・標準)
RC回路とRL回路を題材として、磁場中で導体棒を一定の速さで運動させるときの電磁誘導についての問題であった。問3は、外力がした仕事の大きさからエネルギー保存を考える問題であった。問5は、流れる電流が一定となったときのコイルに発生する誘導起電力を求める問題であった。問7は、I-tグラフの接線の傾きからキルヒホッフの第2法則を用いて自己インダクタンスを求める問題であった。問2と問6では、棒に加える外力の時間変化をグラフで考察するために、直流に対するコンデンサーとコイルの特性の違いを理解しておく必要があった。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2024年度 62.97点
- 2023年度 63.39点
- 2022年度 60.72点
- 2021年度 62.36点
- 2020年度 60.68点