データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2025年度大学入学共通テストの「物理基礎」の問題分析は次の通り。

―重力加速度の大きさや、液体の比熱の測定に関する、探究的な出題があった。難易は昨年並 ―

アトウッドの装置(滑車と二つのおもり)を用いて重力加速度の大きさを測定する探究課題や、電熱線から発生するジュール熱を用いて液体の比熱(比熱容量)を測定する実験など、実験が重視されており、新課程の観点を意識した出題がなされた。実験データを読み取ったうえで、誤差について考察させる問題が特徴的。難易は昨年並。

大問数・解答数

大問数3、解答数15個は、昨年から変更なし。

出題形式

文字式選択問題を中心に出題された。

出題分野

昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

昨年と比べて減少。昨年17ページであったページ数は12ページになった。

難易

昨年並。

大問別分析

第1問「小問集合」 (16点・標準) 

運動とエネルギー、波、エネルギーとその利用の各分野から出題された。波の分野からは2問の出題がされた。問1は、放射線に関する正しい文章の組合せを選ぶ問題で、放射線に関する正しい知識・理解が求められた。問2は、三つの同じ質量の物体に同じ大きさの初速度を与えたときの最高点の高さの大小関係を問う問題で、力学的エネルギー保存則の正しい活用が求められた。問4は、ばねを伝わる縦波の進行波の変位と波長に関する問題で、疎と密の変位が0であることに気がつく必要があった。

第2問「物体の運動とエネルギー」 (16点・標準) 

アトウッドの装置を用いて重力加速度の大きさを求める探究課題についての問題で、おもりの運動が途中で等加速度運動から等速度運動に変化することが特徴的であった。問2は、おもりの加速度を等加速度運動から求める問題であった。問3では、固定されたパイプによっておもりの質量が変化し、等速度運動になったことに気がつくことがポイントであった。問4では高さを変えて落下したおもりがパイプに衝突する直前のおもりの速さと高さの関係を表すグラフを選択し、問5でそのグラフの傾きを用いて重力加速度の大きさを表す必要があった。

第3問「熱、電気」 (18点・やや難) 

電熱線から発生するジュール熱を用いた液体の加熱実験に関する出題であり、探究的な問題であった。問2は、消費電力と物体を加熱する熱量から温度変化を求める計算問題であった。問3は、電流計と電圧計のつなぎ方を表す図を選択する問題であり、実験の経験があれば取り組みやすい。問4は、時刻と液体の温度の関係のデータを読み取る力が問われた。その値から、液体が吸収する熱量と液体の比熱を計算する数値の問題であった。問5は、実験の誤差に関する問題であり、定性的な問い方であるが差がついたであろう。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2024年度 28.72点
  • 2023年度 28.19点
  • 2022年度 30.40点
  • 2021年度 37.55点
  • 2020年度 33.29点