データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2025年度大学入学共通テストの「公共」の問題分析は次の通り。
― 哲学カフェやICTをテーマに抽象的概念や構想を具体例に当てはめる出題がみられた。難易は標準―
第1問・第4問は「公共、倫理」「公共、政治・経済」との共通問題であった。人権や司法などの分野、企業や為替などの分野から政治・経済に関する基本的な知識が幅広く問われた。公共空間の形成に関するハーバーマスやアーレントの思想に関する理解も問われた。多様な文章資料や統計を読解する力を問う出題がみられた。難易は標準。
大問数・解答数
大問数は4、解答数は16個。第1問・第4問は「公共、倫理」「公共、政治・経済」第1問・第2問との共通問題であった。
出題形式
組合せ問題が13問、文章選択問題が3問、誤りを選ぶ問題が2問出題された。6択の問題が3問、7択の問題が3問、8択の問題が5問出題された。また第4問は現実社会の諸課題の解決に向けた、持続的な公共空間の形成をテーマに設定した生徒たちが探究学習を進めていく構成であった。いずれの大問においても、生徒の日常的な会話文や学習場面などの場面設定が展開された。
出題分野
人権や司法などの分野、企業や為替などの分野から政治・経済に関する学習事項が幅広く出題された。また、公共空間の形成に関するハーバーマスやアーレントの思想も出題された。
問題量
19ページ。
難易
難易は標準。
大問別分析
第1問「男女共同参画の推進」 (12点・標準)
「公共、倫理」「公共、政治・経済」第1問と共通問題。大問全体を通して、男女共同参画の現状と制度改革を中心に、人権などの学習事項の理解が問われた。問2では性別役割意識の性別・年代ごとの比較が出題された。
第2問「ビジネスをとりまく状況」 (12点・標準)
大問全体を通して、企業や為替など経済分野の学習事項を中心に出題され、講演会に参加した生徒が関心をもった題材について調べるという構成であった。問3では為替レートの変動に伴うアメリカにおける販売価格の変化の計算が求められた。
第3問「司法が果たすべき役割」 (13点・標準)
大問全体を通して、一票の格差や違憲法令審査など政治分野の学習事項を中心に、司法が社会に対してどのような役割を果たしているかといった観点の出題がみられた。問1と問2ではいずれも一票の格差が出題され、一票の格差が発生する背景と、司法がそれに対して果たす役割という多面的・多角的な理解が求められた。
第4問「公共空間の持続的な形成に向けて」 (13点・標準)
「公共、倫理」「公共、政治・経済」第2問と共通問題。大問全体が、公共空間の在り方をテーマに設定した生徒たちが探究学習を進めていく構成であった。問1ではハーバーマスとアーレントの思想の理解が問われた。問3と問4では哲学カフェやICTをテーマに、抽象的な概念や構想を具体例に当てはめる出題がみられた。