幼い子どもから大人まで、幅広い年代をとりこにする「ちいかわ」。高校生世代にも絶大な人気を誇っているのはなぜか。「ちいかわ」にハマった高校生3人に、魅力を語りつくしてもらった。(椎木里咲)

ハードな世界でけなげに生きる

「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」とは、イラストレーターのナガノ氏がXで更新している漫画で、単行本化、アニメ化もされている。主人公「ちいかわ」を始めとするキャラクターたちが、ちょっぴりハードな世界で仲間とともに楽しく、頑張って生きる様子が描かれている。

友情の描写に癒される

心優しいちいかわの友達、ハチワレ推しのメグミさん(仮名・3年)は、キャラクターたちが織り成す友情に癒やされているという。「ハチワレの友達思いなところが好きです」

ちいかわたちが暮らす世界では、生活のために「労働」をする必要がある。主に日雇いで働いている様子で、定職に就くのは難しい、厳しい世界だ。

「労働」には比較的簡単なものから、命の危険を伴うものまでさまざまな種類がある。危険な敵と戦う「討伐」は、ハチワレ自身も敵に食べられかけたことがあるなど、かなりハードな仕事だ。

作中でよく描かれる労働の一つが「草むしり」だ。草むしりは「草むしり検定」という資格があり、取得すると得られる報酬が上がるのだが、ちいかわが試験に落ち、再チャレンジするエピソードがあった。

 

 

「ちいかわが受けた草むしり検定の合格発表の前日、先に受かったハチワレが自分のことじゃないのに緊張している様子がかわいくて……とってもいい子なんだなとひかれました」

クラスメートとの考察が楽しい

かわいい見た目とは裏腹に小悪魔のような性格の「モモンガ」を推すナナさん(仮名・3年)は、クラスメートと「ちいかわ」について語り合うことが楽しみだという。漫画がXで更新されるとすぐに「休み時間に友達と『最新話見た!?』と盛り上がります」。

 

 

「島編」と呼ばれるストーリーは、人魚の怪物「セイレーン」と島民との争いに、ちいかわが巻き込まれる話。命の価値や罪と罰、正義をテーマに描かれる、「ハード」なストーリーが話題になった。

シリーズの最終話が更新された翌日、ナナさんはクラスメートと解釈を語り合ったという。「ハッピーエンドだという子もいれば、バッドエンドだと考える子もいて……それぞれの考えを話し合うのが楽しいんです」

「ぬい」と一緒におでかけ

レミさん(仮名・3年)は、出掛けるときにモモンガのぬいぐるみを持ち歩いて写真を撮る。「グッズを持っていると周りから『かわいいね』と話しかけられます。女子高生のあいだでは、モモンガやハチワレが人気なイメージです」

モモンガと一緒におでかけ(レミさん提供)

レミさんはグッズ集めの大変さを身に染みて感じているという。定期的に発売される新グッズは、販売店舗に入るために抽選が行われる場合があるのだ。「抽選に外れてしまって、どうしても欲しいグッズは当たった人に頼んで買ってきてもらいました」

「ちいかわ」の楽しみ方は十人十色。ただ「かわいい」だけではないキャラクターやストーリーが、高校生たちを引きつけて放さないのだろう。