年内入試を受験するなら、早めの準備が欠かせない。「まだ志望校が決まっていないけれど、夏休みはどんな対策をすべき?」という声が寄せられた。進路指導アドバイザーの倉部史記さんに、夏休みにすべき年内入試対策について聞いた。(安永美穂)

大学が求める人物像を確認しよう

―これから受験準備を始める総合型選抜や学校推薦型選抜(指定校制・公募制)志望者の場合は、夏休みにどんな対策をすればよいのでしょうか?

志望校を絞り込めている場合は、志望理由や自己PRなどを言語化して、出願書類に落とし込んでいく作業をスタートさせましょう。学校の先生などに添削してもらいながら、内容を練り上げていくことが大切です。

―志望理由書や課題など、出願書類はどうやって準備を進めていけばよいのでしょうか?

まずは募集要項をよく読み、それぞれの書類に何を書くことが求められているのかを把握しましょう。志望理由を書くにあたっては、大学が求める人物像を記した「アドミッション・ポリシー」を確認し、自分がそれに合致する人物であることが伝わる内容にすると説得力が増します。

夏休みにやるべき年内入試の準備

自己PRには、実績のほかに、「その経験を通じてどんなことを学んだのか」まで書くようにしましょう。部活などのエピソードで「頑張って困難を乗り越えた」と書く人は多いですが、どんな困難をどのように乗り越えたのかを具体的に書いた方が、読み手の印象には残りやすくなります。

―レポートなどの課題に取り組む際の注意点はありますか?

レポートや小論文などの課題では、課題図書の要約を書くことが求められる場合もあれば、自分自身の考えを述べることが求められる場合もあります。出題の意図をよく確認してから書き始め、学校の先生などに添削してもらいながら内容を練り上げていきましょう。

大学や学部を複数比較しよう

―志望校のことをある程度は調べている場合でも、出願書類を準備する前に夏休みにやっておいた方がよいことはありますか?

他の大学の同じ学部についても調べてみて、カリキュラムの違いなどを比較しながら、志望校は自分が学びたいことを学べる大学なのかを再度検討してみましょう。さらに余裕があれば、それぞれの大学の違いを親などの身近な人に説明してみると、得た情報を整理し直せます。

―志望校についてこれから調べ始める場合、夏休みは何をすべきでしょうか?

興味のある複数の大学について調べて比較することをおすすめします。比較することで各大学の特色が見えてくるので、入学後のミスマッチを防ぎやすくなるはずです。

年内入試志望でも勉強は続けて

―残念ながら不合格になることも想定されます。前もってどんな準備をしておけばよいのでしょうか?

他の大学の併願可能な総合型選抜や公募制の学校推薦型選抜にも出願しておくのか、あるいは志望校を一般選抜で受験するのか……出願が始まる前の夏休みのうちに、受験の方針を家族で話し合っておきましょう。一般選抜を受験する可能性がある場合はもちろん、総合型選抜や学校推薦型選抜でも大学入学共通テストの受験が課せられることがあるため、入試方式にかかわらず、基礎学力を身につけるための学習は夏休みも継続しておくことが望ましいといえます。

 

倉部史記(くらべ・しき)さん

進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。著書『ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など。

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