「取りあえず大学に行きたい」「年内のうちに受験を終わらせたい」と安易に志望校を選ぶと、入学後に「こんなはずではなかった」と後悔することも少なくない。高校生からは「後悔しない進路選択をしたい」という声も寄せられた。ミスマッチを防ぐために意識しておくとよいことを、進路指導アドバイザーの倉部史記さんに聞いた。(安永美穂)

カリキュラムは要確認

―「やりたいことはないけれど、取りあえず大学に行きたい」とよく考えずに進路を決める高校生がいます。入学後にミスマッチを起こさないためには、どのような視点で大学を選べばよいのでしょうか?

入学後に「大学で学べる内容が自分の学びたかった内容と違う」というミスマッチを起こして後悔する大学生は少なくありません。例えば心理学を学びたいと考える高校生は多いですが、大学で学ぶ心理学は人間の心と体の関係を生理的に分析したり、統計を用いたりするなど、理系の要素も強い学問です。経済学部は文系にくくられますが、皆さんの想像以上に数学を使います。志望学部・学科で学ぶ内容の入門書を読んだり、大学のカリキュラムを確認したりして、自分が思い描いているイメージと大学で学ぶ学問の内容が一致しているかどうかは、早めに確認しておきましょう。

親の意見に流されないで

―その学部で何を学べるのか、きちんと調べることが大切ですね。では、志望校選びのポイントは?

大学の偏差値、立地、サークルなどの課外活動、学食の充実度など、人によって気になる点はさまざまでしょう。でも最も重要なのは、「どのような授業が行われていて、何を学べるのか」という教育の中身です。キャンパスライフの華やかさだけに目を向けずに、学びの内容についてしっかり調べ、自分の希望に合うところを選びましょう。

なお、志望校に関して親子で意見が対立するケースも少なくありませんが、大学に通うのは受験生自身です。親の意見に流されずに、自分は大学で何を学びたいのかをよく考え、自分の進路は自分で決めるという意志を持つことが後悔のない進路選択につながるといえるでしょう。

学べる内容を大学間で比較しよう

―高3の6月から大学の情報を集める場合、情報収集はどのように進めればよいですか?

複数の大学のホームページをチェックして、大学で学べる内容を比較してみることをおすすめします。さまざまな調査結果やデータをもとに、多様な項目で全国の大学・学部の評価を紹介している大学ランキングも大学を知る材料の一つとして活用できます。「自分が目指す職業に関連する資格を取得している人が多い大学はどこなのか」など、自分にとって重要な指標をチェックしてみてください。

後悔しない大学選びのポイント

オープンキャンパスでは、大学の施設を見るだけではなく、ぜひ個別相談のコーナーを利用してください。「自分が就きたい職業に就いている学生はどれくらいいるのか」など、気になる点を具体的に質問してみると、より有用な情報を得られます。

オープンキャンパスに行くことが難しい場合は、模擬授業などの動画を参考にしてみるのもよいでしょう。オープンキャンパス当日以外にも受験生のキャンパス見学を受け入れている大学も多いため、通常の授業が行われている日に大学の見学に行ってみるのもおすすめです。

 

倉部史記(くらべ・しき)さん

進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。著書『ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など。

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