【速報】大学入学共通テスト2024 地理Aの分析

大問数・解答数

　大問数は昨年同様５。解答数は31個から30個に減少。第５問は地理Ｂとの共通問題であった。

出題形式

　昨年と同様に、地図・図表・写真などの多様な資料を用いた問題が中心であった。参照する資料の数は、地形図・グラフがそれぞれ増加し、地図・模式図や写真は減少した。出題形式は昨年に引き続き、組合せの形式が多くはあるが、文中に下線を引く形式が増加し、また、文章選択や図表中から選択する形式もみられた。

出題分野

　大問構成は昨年から変更なし。

問題量

　昨年並。

難易

　昨年並。

大問別分析

第1問「地図の読み取りとその活用、および日本の自然災害と防災」 （20点・標準）

　地図と地理情報の活用、防災について、GISに関する活用力が問われた。自然環境、自然災害にかかわる幅広い知識と図を正確に読む力が問われた。問４は光合成の活発度を示したグラフと地図を組み合わせる問題。なじみのない指標に戸惑う受験生もいたかと思うが、緑地面積を想起し、季節変化を踏まえて考えることができれば判断可能である。問６は津波と洪水発生時の避難行動についてハザードマップから検討する問題。災害の理解や図の読み取りだけではなく、与えられた条件下での判断が求められた。

第2問「家畜に関する世界の生活・文化」 （20点・やや易）

　世界各地の生活・文化について、グラフ・イラストなど様々な資料を用いて、全体を通して家畜をテーマに出題された。問２は家畜と自然環境の関係を問う地理Ａらしい出題。問５は伝統的な天幕住居についての問題で、Ｚはやや詳細な内容であったが、Ｘ・Ｙが典型的な内容であったので、判断は可能であった。問６は大問全体のまとめとなる問題で、家畜と農業・宗教・環境問題との関わりと、これからの展望について出題された。

第3問「アフリカの地誌」 （20点・やや難）　

　アフリカの特徴や近年の変化について、様々な方面から出題された。問３はエジプトとケニアの宗教と言語の比較を写真と文章で問う出題。小学校の授業という場面設定ではあるが、問われている内容は標準的である。問６はサハラ以南アフリカと北アメリカにおける携帯電話と固定電話の契約数を比較する問題。グラフの指標判断が求められたが、サハラ以南アフリカと北アメリカでは差が顕著であり、選びやすい。

第4問「世界の結びつきと地球的課題」 （20点・標準）　

　ＡパートとＢパートによる構成で、Ａパートでは世界の結びつきについて２問、Ｂパートは地球的課題について４問出題された。問３は電源別の発電量と電力需要量の推移を示した図を読み取る問題。初見資料ではあるが、１つずつ丁寧に読み解くことで判断可能である。問５は食品ロスについての出題。消費段階の割合に着目してヨーロッパは判断可能だが、果実・野菜類の判断に悩んだ受験生も多いかもしれない。問６は、地球的課題の解決策としてODAを取り上げた問題。世界図が３枚提示されているが、特色が顕著であり、判断には迷わなかったであろう。

第5問「島根県石見地方の浜田市の地域調査」 （20点・標準）

　島根県石見地方の浜田市について、地形図、写真など多様な資料が扱われた。資料を丁寧に読み取り、活用する地理的技能が問われた。問２は商品やサービスによる購買利用先の相違を問う問題。商圏への理解をもとに、中心地機能の大小と商品やサービスの利用頻度の関係から考えることがポイントとなった。見慣れない図を読み取ることに時間を要したと思われるが、問われた知識は標準的であった。問３は施設の立地と小学校区に関する組合せの問題。資料を読み取り、手がかりをみつけることに悩んだ受験生が多かったと思われる。施設の性質と分布の傾向の差異に着目したい。それぞれの小学校区の形状についての空間的理解が問われた。問５は江戸時代の商品流通に関する問題。歴史的見方と地理的見方をあわせて考える必要があり、題意を読み取りながら考察する思考力が求められた。地理Ａの学習内容でも対応可能であった。

過去5年の平均点（大学入試センター公表値）