データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2024年度大学入学共通テストの「倫理、政治・経済」の問題分析は次の通り。

― 昨年に引き続き正確な知識と資料の読解が必要。具体例の考察も求められた。難易は昨年並 ―

すべての設問が単独科目「倫理」および「政治・経済」と共通であった。昨年同様、倫理分野では、資料の読み取りと知識の組合せが問われ、政治・経済分野でも、文章資料や統計など多様な資料を読み取り、正確な知識を活用して考察する問題がみられた。難易は昨年並。

大問数・解答数

大問数7で変更なし。解答数は32個で、「倫理」16個、「政治・経済」16個で変更なし。また、昨年同様、「倫理、政治・経済」の独自の設問はなかった。

出題形式

「倫理」はバランスよく出題された。「政治・経済」は、経済を中心とした出題で、統治機構、国会・内閣・裁判所、地方自治などの出題がみられなかった。

出題分野

倫理、政治・経済ともに各分野から幅広く出題された。

問題量

「倫理」「政治・経済」ともに昨年並。

難易

昨年並。

大問別分析

第1問「思想の継承と発展」 (12点・標準) 

「倫理」源流思想分野からの出題。西洋から東洋までの源流思想がまんべんなく問われた。問3は資料により、仏教と中国の伝統的な考え方の類似性から古代インドの生命観について出題された。問4はイエスの言動について正確な理解が問われた。

第2問「日本人と平和」 (12点・標準) 

「倫理」日本思想分野からの出題。日本人と平和をテーマに、古代から近代までの思想が出題された。正確な知識を要求しており、判断に迷う問題がみられた。問2は、古代日本の仏教について3つの文の正誤の判断が問われ、それぞれの正確な知識が求められた。問4は吉野源三郎という教科書ではほとんど扱われない人物を取り上げ、戦後の思想状況のなかで平和を実現するために、他者への信頼とはどうあるべきかを資料から判断する必要があった。

第3問「芸術に普遍性があるか」 (12点・標準) 

「倫理」西洋思想分野からの出題。問2は、カントの認識論を手がかりに、『判断力批判』の資料を提示しながら、美についてカントがどのように考えたかが問われた。問4は、3人の生徒の議論をまとめた内容の判断が求められた。

第4問「後悔について」 (14点・標準) 

「倫理」青年期・現代の諸課題からの出題。後悔をテーマに、その積極的意味を見出す考察、読解を中心に出題された。問3は、会話文全体を踏まえて、登場人物の主張として妥当なものを論理的に導くことが求められた。

第5問「さまざまな団体・集団の働きについて」 (19点・標準) 

「政治・経済」政治分野・経済分野からの出題。近代国家の成立や社会保障など幅広く問われた。問2は、雇用保険、労働者災害補償保険(労災保険)について、給付財源の保険料の負担者から保険制度を考えることが求められた。問6は、臓器移植法改正前後で本人の書面による意思表示と家族の同意の有無について問われた。

第6問「経済成長とグローバル化」 (19点・やや難) 

「政治・経済」経済分野・国際経済分野からの出題。国民所得、市場原理、比較生産費説などの経済原理を具体的な数値や事例を用いて考察することが求められた。問4は公害汚染物質の排出規制において濃度規制と総量規制を具体的な数値をもとに考察する必要があった。

第7問「国際社会の理論と動向」 (12点・標準) 

「政治・経済」国際政治分野・国際経済分野からの出題。資料や統計などが用いられた。問3は、中国の動向と国際収支、ODAについて総合的な知識が問われた。問4は、宇宙条約違反となる事例を資料に基づき判断する論理的思考力が求められた。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2023年度 60.59点
  • 2022年度 69.73点
  • 2021年度 69.26点
  • 2020年度 66.51点
  • 2019年度 64.22点