第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2024年度大学入学共通テストの「国語」の問題分析は次の通り。

― 推敲や鑑賞などの「言語活動の充実」を意識した設問が出題された。難易は昨年並 ―

全大問で複数のテキストが提示され、全体の分量はほぼ昨年並。第2問問1、第4問問1などの知識事項を問う設問が出題された一方で、第1問問6の〈推敲〉、第4問問6の〈鑑賞〉など、「言語活動の充実」を意識した、応用的・発展的な思考力が求められる出題が全大問で見られた。難易は昨年並。

大問数・解答数

大問数4、各大問の配点50点は昨年から変更なし。設問数は第4問で1問減り、全体として1問減(24→23)。解答数は第2問で2個増え、第4問で1個減り、全体として1個増(37→38)。

出題形式

第1問は音楽や芸術に関する評論で、問6では作品鑑賞のあり方について考える課題に対して生徒が書いた文章を推敲する形式の出題があった。第2問は現代小説で、問7では本文の理解を深めるための資料をふまえつつ教師と生徒の対話中の空欄を埋める設問が出題された。第3問は和歌を含む文章からの出題で、問4では「桂」という言葉に注目して本文を解説した現代文の資料が示され、空欄を埋める設問が出題された。第4問は漢詩と絵、それに関連する資料が提示され、問6では資料をふまえた詩の鑑賞についての設問が出題された。

出題分野

昨年と同様、近代以降の文章2題、古文1題、漢文1題という構成であった。

問題量

第1問は3900字、資料1点。第2問は3000字、資料1点。第3問は1100字、資料1点。第4問は【詩】が31字、【資料】が157字。

難易

昨年並。

大問別分析

第1問「近代以降の文章」渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学――境界線上の音楽』 (50点・やや易)

最初に二つの文章を並べた昨年・一昨年と異なり、〈一つの長文+(設問内の)生徒の書いた文章〉という2021年度の第1日程や2022年度追試・2023年度追試型の出題となった。本文の分量は昨年より多いが、設問は比較的正誤の明確な選択肢が多かった。問1の漢字は昨年・一昨年出題された意味の設問がなく、傍線部と同じ漢字のものを選ぶ問いが5個出題され、センター試験型に戻った。問5でセンター試験型の構成・展開設問が出題されたことも目を引く。問6の〈生徒の学習場面〉型設問は、話し合いの形だった昨年とは異なり、生徒の書いた文章を推敲する2022年度追試・2023年度追試型となった。

第2問「近代以降の文章」牧田真有子「桟橋」(二〇一七年発表)/太田省吾「自然と工作――現在的断章」 (50点・やや易)

現代の女性作家からの出題。高校生の主人公と「おば」との関係性が描かれている。本文は昨年より読みやすく分量も減少しており、比較的取り組みやすい文章であった。問1で語義を問う設問が出題されたのは2021年度以来。問2から問5は心情説明を中心とした部分読解の設問。問6は表現に関する設問。問7は、提示された【資料】をめぐる教師と生徒の対話のなかの空欄を埋める複数テキスト型の出題で、本文の内容を【資料】の論旨をふまえつつ捉え返す設問であった

第3問「古文」「車中雪」(『草縁集』所収) (50点・やや難) 

近世後期の歌文集からの出題。本文は「車中雪(しゃちゅうのゆき)」という題で創作された作品の一節で、問4の「本文を解説した文章」に示されているように、全体として『源氏物語』の世界をふまえて書かれている。問4では、「桂」に関する現代文の文章が示され、それを手がかりにして本文を読み進めていくというかたちになっている。古文においてサブテキストとして現代文が用いられているのが目新しかった。

第4問「漢文」蔡正孫『詩林広記』/程大昌『考古編』 (50点・やや難)

【詩】に、そこで詠じられた華清宮の有り様を描いたイラストが付され、【資料】として4つの文章が掲げられている。設問としては、【資料】をふまえて詩を解釈する設問と、【資料】間の関係についての設問が出題されており、例年よりも複数テキストの関係性を深く問おうとする傾向が見られた。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2023年度 105.74点
  • 2022年度 110.26点
  • 2021年度 117.50点
  • 2020年度 119.33点
  • 2019年度 121.55点

第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【正解】【分析