総合型選抜や学校推薦型選抜などで課される「面接」。面接官は受験生のどこをチェックしているだろうか。受験生がやりがちな失敗例や、事前にやるとよい準備などについて早稲田塾の中川敏和さんに聞いた(安永美穂)
「自分のあり方」を対話で伝える
―面接では何を見られているのでしょうか?
面接で見られるのは、「どんな対策をしてきたか」ではなく、受験生自身の「あり方」です。面接は大学の教員との対話ですから、気持ちのこもっていない表面的な回答はすぐに見破られてしまいます。面接官は、対話の中で「本人が本当にそう思って言っているのか、しっかり勉強してきているのか、教養を持っているのか」すぐわかってしまうものなんです。
これまでの経験や志望動機などに関する質問を通じて、「その大学・学部の研究内容にどれくらいの熱意を持っているのか」「自分の目標に向かってどれくらい意欲的に取り組めるのか」といった、自分自身の「あり方」そのものが見られているという意識を持ちましょう。
「知ったかぶり」はマイナス印象
―面接本番でやりがちな失敗とその回避策を教えてください。
親や先生などが考えた模範回答を丸暗記して臨むと、面接官はそれを見破ります。本人が考えていないとわかってしまうんです。追加で想定外の質問をされた際にも対処できません。
また、わからないことを聞かれた際に、知ったかぶりをして適当な回答をすることもマイナスな印象を与えるため注意が必要です。「ちょっと良く見られたい」という気持ちが伝わってしまうんです。
―では、わからないことを聞かれたらどうすればよいのでしょうか?
大学という場は、まだ正解が見つかっていないことを研究して深めていく場なので、「今はまだわからないので、大学入学後に詳しく調べてみたい」といった回答をすることがあってもよいのです。
想定外の質問をされた場合は、自分を少しでもよく見せようとして受け答えを“盛る”のではなく、誠実な態度で回答した方がその後の対話を続けやすくなるでしょう。
厳しい先生にも模擬面接してもらおう
―面接に向けて事前にやっておくとよいことは?
いろいろな人に模擬面接をしてもらい、直した方が良い点などについてアドバイスをもらうことをおすすめします。学校の先生にお願いする場合は、仲の良い先生だけではなく、厳しいタイプの先生にも模擬面接をしてもらうと、入試本番に近い緊張感がある状態で受け答えの練習ができます。
また、自分が研究したいテーマや将来やりたいことについて、1分半を目安にプレゼンテーションをしてみるのもおすすめです。その練習をしておけば、「自己PRをしてください」と言われた場合も慌てずにすみ、大学進学後の就職活動でも役立ちます。
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■面接の種類
・質疑応答形式…個人形式、グループ形式の2種類。志望理由書やポートフォリオの内容質問や所作を見られる。
・グループディスカッション形式…受験生数人でテーマに沿った討論を行う。
・口頭試問形式…文系学部なら文章を読み内容に関する質問、理系学部なら数学や科学の問題の解説を求められることもある。
・プレゼンテーション形式…テーマが与えられ当日までに資料を作り発表する。
中川敏和さん なかがわ・としかず 早稲田塾 執行役員・本部長。1997年から東進、早稲田塾で一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜など、さまざまな大学受験指導を25年間行う。受験生の娘をもつ父親でもある。