新課程に対応した2025年度入試では、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の内容・形式にも変更が生じる。河合塾教育研究開発本部の近藤治さんのアドバイスを交えながら、地歴・公民の内容・形式の変化や学習対策についてまとめた。(安永美穂)

2科目選択者は組み合わせに注意

地歴・公民は、「地理総合、地理探究」「歴史総合、日本史探究」「歴史総合、世界史探究」「地理総合、歴史総合、公共(地理総合、歴史総合、公共から2科目選択)」「公共、倫理」「公共、政治・経済」の6科目から「最大2科目選択」となる。

1科目60分、2科目130分(解答時間120分)。1科目100点。2025年度は旧課程履修者への経過措置がとられる。

2科目選択時の組み合わせパターン(河合塾提供)

「地理総合、歴史総合、公共」を選択する人が2科目受験をする場合は、「地理総合、歴史総合、公共」で自分が選択する科目を含む他の科目との組み合わせは不可となる。また、2科目受験をする場合、「公共、倫理」「公共、政治・経済」から2科目選択はできない。

教科書未掲載の資料出題の可能性も

地歴・公民は大学ごとに利用可能な科目が異なる。近藤さんによると、「『地理総合、歴史総合、公共』は国公立大の74%の募集区分で利用可能ですが、難関大や医学科では認めない大学が多いので注意が必要」だ。

公民に関しては、旧課程では難関大を中心に一部科目が選択できない大学があるが、新課程ではほとんどの大学で「公共、倫理」「公共、政治・経済」を利用できる。しかし、今後変更される可能性もあるため、受験学年を迎えたら最新の情報を確認する必要がある。

新課程入試では、教科書や資料集等には掲載されていない資料が出題されることも予想される。「初見の資料からでも必要な情報を素早く読み取れるように、日頃から訓練をしておくとよいでしょう」

【地歴公民の学習対策】資料を読み取る力が重要

河合塾が公表した「<新課程>共通テスト 試作問題分析」にて示した、2025年の共通テストに向けての学習対策をまとめた。

地理分野は「なぜそうなるのか」という因果関係や相関関係の違いにも関心を持ち、理解を深める姿勢が重要。歴史分野は用語の丸暗記では対応できないので、資料に親しみながら、歴史事象の因果関係や時代概観の把握を。公民分野は教科書の内容理解に努め、課題探究に積極的に取り組み、資料を読み取る力や分析・考察を行う力を身につけておくとよい。

 
近藤治さん 
学校法人河合塾 教育研究開発本部主席研究員。河合塾入塾後、教育情報分析部門で大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。情報発信や講演も多数実施。