新課程に対応した2025年度入試では、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の内容・形式にも変更が生じる。河合塾教育研究開発本部の近藤治さんのアドバイスを交えながら、新設科目「情報」の内容や学習対策についてまとめた。(安永美穂)

60分100点満点で4つの領域から出題

2025年度の共通テストより新設される「情報Ⅰ」は、60分、100点。試作問題は、新学習指導要領の4つの分野「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」の4つの領域から出題される内容となっている。25年度は旧課程履修者への経過措置がとられる。

焦る必要なし、学校の授業を大切に

「情報Ⅰ」は国立大の多くで必須となるものの、近藤さんによると焦る必要はないという。「二次試験の科目も含めた全体でみると、配点比率はそれほど高くないケースがほとんどです。そのため、やみくもに対策を進めなければと焦る必要はありません。多くの高校生は、『情報Ⅰ』を履修している時点では、まだ入試のことを強く意識しにくいかもしれません。しかし、学校で履修する時点で教科書の内容をしっかり理解しておけば、入試前に対策を行う際にも効率よく学習を進められます」

国公立大で「情報Ⅰ」を点数化する大学の配点比(河合塾調べ、2023年6月上旬現在。河合塾提供)

新しい科目だから何か特別な対策をしなければと考えるのではなく、「学校の授業を大切にする」という基本を徹底することが大切だ。

【情報の学習対策】教科書で基本知識を身に着けて

河合塾が公表した「<新課程>共通テスト 試作問題分析」にて示した、2025年の共通テストに向けての学習対策をまとめた。

教科書の内容を満遍なく学習して基本的な知識と技能を身につけたうえで問題解決に取り組むことや、一つ一つの用語や技術・技能の本質的な意味を理解して、それを使いこなす意識が重要。情報科の教員に相談するなどして、学習に計画的に取り組むとよい。

 
近藤治さん 
学校法人河合塾 教育研究開発本部主席研究員。河合塾入塾後、教育情報分析部門で大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。情報発信や講演も多数実施。